秋田・美郷町で地域の子どもたちのために「子ども食堂」の運営に奮闘している男性がいる。「町内に協力の輪を広げ、みんなで地域をつくりたい」という男性の思いを紹介する。
地域の人が集まるにぎやかな場に
子どもたちの健康と安全を守り、地域とのつながりを育もうと全国に広がっている「子ども食堂」。美郷町にも、地域の人々をつなぐ「ほとり食堂」という子ども食堂がある。
この記事の画像(31枚)この食堂を運営しているのが、美郷町在住の阿部大地さん(38)だ。
横手市出身の阿部さんは、結婚と子育てをきっかけに2019年に美郷町に移住してきた。町内で在宅介護の仕事をする中で、急速に少子高齢化が進む地域の実状を知り、2022年の夏に「ほとり食堂」を始めた。
ウォランタスみさと・阿部大地さん:
高齢者や地域の人はもちろん、障害のある子どもたちの支援も行っていて、そういった人たちと接する中で「子どもたちには平等に過ごしてほしい」という思いが一つ。そして、子どもたちを支える「地域をつくる」というところで、福祉という大きな視点で地域をつくるために始めた。
地域一体で「みんなのそばにいる」「傍らにいる」という思いから名付けた「ほとり食堂」。阿部さんが目指しているのは、昔ながらの町内会や子ども会のように、地域の人たちみんなが集まるにぎやかな交流の場だ。
「ほとり食堂」は、毎月第3土曜日に町内の3つの地域を巡回しながら開催していて、3歳から小学生の子どもたちとその家族、30人ほどが参加している。町内で採れた新鮮な野菜を使った食事の提供はもちろん、みんなで楽しめるイベントにも力を入れている。2024年は夏の風物詩「スイカ割り」や「流しそうめん」を楽しんだ。
ウォランタスみさと・阿部大地さん:
必ず1人1個スイカを割って持って帰ってもらうと。スイカを割るためにみんなで協力していたところが印象深かった。地元の竹屋に協賛してもらい、最長12メートルの長いレーンを作って、子どもたちがびしょぬれになりながら流しそうめんをするなど楽しい活動をした。
地元企業も協力し子どもに大人気
阿部さんの思いに共感した地元企業も協力を惜しまない。「ほとり食堂」では銅板を使った工作や、レンズのキズを見つける作業などの体験イベントが企画され、町内の工場の関係者が子どもたちを指導してくれる。
ウォランタスみさと・阿部大地さん:
1回来てくれた子どもが「ものすごく楽しかった」と言って、次に同じクラスの友達を連れて来る。時々学校や保育園にチラシを持っていくと、先生に「子どもたち同士で話題になっていたよ」と。「休日はどこに出かけるの?」と聞くと「ほとり食堂に遊びに行きたい」と言っているという話を聞いて、とてもうれしく思った。
町内の子どもたちの交流の場の一つになっているほとり食堂。阿部さんは、ほとり食堂をより多くの人に知ってもらおうと、SNSを活用した情報発信にも力を入れている。
活動の様子をSNSで発信することで様々な人に見てもらい、「地域をつくりたい」という思いに共感してもらうことが一番の目的だ。
少しずつ広がりを見せている協力の輪。
阿部さんは、目指すほとり食堂の今後について「地域や家庭など様々なコミュニティーの場で同じ思いを共感してもらい、“みんなで地域をつくる”というところにつなげていくことが最終の目標。いずれは、子ども食堂に参加した子どもたちが子ども食堂を運営する。もしくは地元に残る、地元企業に就職する。そういった新しいサイクルができれば、それぞれの地元や秋田県にとって一番良い活動なのではないかと思う」と語った。
人々が集い、いつも誰かがそばにいる。そんな地域を目指して、阿部さんは活動を続ける。
(秋田テレビ)
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