磐田市立総合病院(静岡県磐田市)が看護師や臨床検査技師らに労使協定(36協定)を超える時間外労働をさせたとして、磐田労働基準監督署から2023年に是正勧告を受けていたことが12日、明らかになった。病院は改善報告書を労基署に既に提出した。勧告後に職員を増やした他、人事担当者が全ての所属長と面談して部下の労働時間を把握し、時間外労働を適切に申請させるように指導した。【山田英之】
病院によると、労基署の調査で労働基準法に違反する事例が見つかり、23年7月に是正勧告を受けた。協定を超える時間外労働をしていた職種は看護師、臨床検査技師、事務職員。医師以外の看護師などは労使協定で、時間外労働は月99時間まで、年720時間まで▽月99時間を超えて働けるのは年6回まで--としていたが、協定を超えて働かせていたケースがあった。
時間外労働に対し、割増賃金を職員に支払っていないことも指摘された。また、病院では出退勤時をICカードで記録するシステムを導入しているが、出退勤の時間と職員が申請した労働時間の記録が異なっている事例もあった。
病院は勧告後、看護師らを増員した。勤務実態を調べて未払いだった職員全員に、割増賃金を支払った。ICカードによる出退勤の記録と別のシステムで時間外労働の申請をしていた職員がいたため、同じシステムを使用するように改めた。
病院の担当者は協定を超えた時間外労働について、救急医療を担う地域の中核病院で通常業務が多いことに加え、新型コロナウイルス感染症への対応で医師だけでなく、看護師、臨床検査技師、事務職員の業務も増えたことが要因と説明。「法律違反があったことを深く反省し、是正勧告を重く受け止めて対応している」と話した。
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