立憲民主党は23日、東京都内のホテルで臨時党大会を開き、代表選を実施。野田佳彦元首相が新代表に選出された。野田新代表の就任によって野党共闘や自民総裁選にどういった影響が出るのか。日本大学危機管理学部教授/東京工業大学特任教授の西田亮介氏に聞いた。
【映像】野田新代表就任で自民党が“焦る”理由
野田佳彦元首相、枝野幸男元代表、泉健太現代表、そして当選1回の吉田晴美議員の4名が立候補した代表選は、決選投票までもつれ込んだ結果、野田元首相が枝野元代表を破り、新代表に選出。この結果について西田氏は「事前の報道でも野田氏が有利と言われていました。(野田氏は)かなり余裕のある選挙戦を戦われたのではないか。そういう意味では順当だ」と振り返る。
野田新代表が支持された要因については「これまでの立憲民主党の主張は中道よりも左に寄っているとされていたが、その体制で東京都知事選も(同党を離党した蓮舫氏を支援しながらも)支持を伸ばせなかった。このように(有権者に)既存政党離れが起きている状況で、もう少し現実路線に戻したほうがいいのではないかと党員をはじめとする支持層も考えた結果ではないか」と分析。野田新代表を支持した党員は「これまでの体制のなかでは意見表明をしにくかったが、選挙でも得票を伸ばせない現状に忸怩たる思いがあり、従来とやや違った路線を取りたいと考えたのかもしれない」と私見を述べた。
野田新代表は与党との関係性についても「外交や安全保障の分野において、周辺国との緊張関係が高まる中で現実的な主張を踏襲しながら、主に内政などで与党との対立軸を残していけるかもしれない」と展望する西田氏。一方で、“野党共闘”の構図はこれまでと大きく変化するだろうと見ている。
「野田氏の場合、どちらかというと国民民主党や日本維新の会といった、従来とは異なる中道保守的な野党共闘を積極的に目指していくのではないか。一方、野田氏は今回の代表選で、従来の共闘路線である共産党との共闘維持にも可能性を残す主張を行なっていた。具体的には、集団的自衛権の部分的行使容認について否定的な立場をとった点。これは野田氏の従来の主張とは異なるものだけに、共産党との協力可能性を念頭においているのではないか」
さらに、野田新代表の就任は、自民党総裁選の情勢にも影響を及ぼすのではと西田氏は指摘する。注目すべきは野田新代表の“演説力の高さ”だ。
「野田氏は質問力や演説の強さで存在感を押し出したいはず。選挙が近い今の状況で、自民党で誰を総裁として野田氏に対抗させるかと考えたとき、議論の構図となった際に(野田氏に)完全に押されているな、負けてるなという印象が残るとよくない。そのため、演説が苦手だったり、単に上手いことを言ってるだけかもしれないような候補者を担いでもいいのか、という疑問が強調されることになるのではないか」
こうした点を踏まえ、「政策通であるとか、議論に強そうな候補者が自民党の総裁選において(残りの総裁選期間において)肯定的に見られるのでは。ただし、老獪と評されがちな野田氏だが、野田氏の下で国政選挙に大勝した実績には乏しい。総選挙の行方がどうなるかは自民党の総裁選を踏まえて蓋を開けてみないとわからない。また臨時国会では冒頭解散をさせず、論戦を交わしたいはずだ」と語った西田氏。自民党総裁選は9月27日(金)に投開票が行われる。
(『ABEMAヒルズ』より)
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