自民党は30日、臨時の総務会を開き石破茂新総裁のもとで新たな党役員人事を決定した。
党3役の幹事長には森山裕総務会長、総務会長には鈴木俊一財務大臣、政調会長には小野寺五典元防衛大臣の起用が内定した一方、総裁選を戦った高市早苗経済安全保障相や小林鷹之前経済安保相は要職での打診を固辞した。
なぜ高市・小林両名は固辞したのか? “石破新体制”には今後何が待ち受けているのか? 政治学者の佐藤信氏に聞いた。
佐藤氏は“石破新体制”について「大きな亀裂を生んだ」と指摘する。
「石破氏は総裁選で戦った人にもポストを与え『一致団結』を呼びかけたが、提示したポストが十分ではないなどの理由で高市氏や小林氏に断られ、党内に亀裂を生んだ。結果的に、“自分に近い人たち”で固められた形になるため、党内にはかなり不満が溜まってる状態だ」
今後、石破新総裁にはどのような苦難が予想されるのか?
佐藤氏は「今回の総裁選においても自分を凌駕する可能性があった高市氏などが“外側”にいて、いつでも“石破降ろし”ができる状態にある。衆院の解散総選挙はもちろん、常に安定した政局運営が求められる」と説明。
さらに「2025年7月の参院選が最も厳しいタイミングになるかもしれない」と予測する。
「参院選までは時間があるため、“石破氏がやろうとしていること”がこの時には見えており、さらに新総裁誕生による“ご祝儀相場”によって上がった支持率も落ち着いている。この選挙で自民党が振るわないとなれば石破氏に対して『責任を取れ』という声が出てくる」
一方、同じく総裁選を戦った小泉進次郎元環境大臣は選対委員長という要職に内定している。佐藤氏によると、選対委員長は選挙結果の責任を取らなければならないポジションなので、選挙での不振を理由に石破氏の後継者を目指すことは難しいという。
それでも選対委員長を受けた理由について佐藤氏は「小泉氏は元々比較的石破氏とは関係が近く、決選投票でも石破氏の応援に回った。高市氏とは状況が異なる。小泉氏は“経験の少なさ”が課題と指摘され続けている。むしろ、石破氏の体制が続けば、幹事長や官房長官などさらに良いポジションに就くことを狙えるかもしれない」と述べた。
衆院選は10月15日公示、27日投開票となる。石破新総裁は国民にアピールできる政策を出せるのか?
佐藤氏は「難しい。選挙まで約2週間といってもその前に政策のパンフレットを作ることなどを考えると、時間はほとんどないに等しい。石破氏は独自の政策を提示してきたが、同時に『党内で話し合って決めたい』としており、1〜2週間で“石破カラー”を出すのは厳しい」という。実際、当面は岸田政権を継続するとも表明している。
そして総選挙になれば、「この点を立憲民主党の野田新代表が突いてくるかもしれない」という。
「石破氏はこれまで“党内野党”的な立ち位置で批判をしてきたため、立憲民主党としては高市氏と比較して戦いづらい。しかし、すでに『言ってたことと違う』点も多く生じているので、野党第一党としては当然そこを突いてくる。自民党側はこれにどう対抗するかが問われる」
(『ABEMAヒルズ』より)
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