厳しい暑さの中、さらに熱く燃え上がった生徒たちの青春。創立140年を超える伝統校、愛媛県立松山東高校の運動会が9月11日~12日の2日にわたって開催された。その熱気あふれる2日間に密着し、生徒たちの奮闘と感動の瞬間を追った。

生徒の手で作り上げる伝統の祭典

1000人を超える生徒たちが青柳、紫雲、紅樹、黒潮の4つのグループに分かれ、競技や応援で得点を競う松山東高校の運動会。

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生徒が主体となって作り上げる特別な行事で、各グループのやぐらや巨大な人形も、すべて生徒たちの手によるものだ。

運動会前日、準備に励む生徒たちの姿があった。

「最高のグループを作りたい」と語る黒潮のグループ長・東昂平君

黒潮グループの約270人をまとめるグループ長、3年生の東昂平君は「一年生の時からグループ長やりたいとずっと思っていて、1、2年生のときに見てきたグル長の姿がかっこいいなと思った半面、俺ならもっとできるというのが一番にあって、だから絶対に超えてやりたい、最高のグループ作ってやりたいと思ってなりました」と、リーダーとしての熱い思いを語る。

準備の様子を見た東君は、「運動会準備始まってから1~3年生みんなが来てくれて、たくさんの人が参加してくれて運動会の準備が盛り上げられたこと。それがまずうれしい」と喜びを隠せない。

黒潮グループの人形担当の生徒も、「自分が設計したものがみんなで力を合わせて形になっていくのがうれしい。トラブルとかも多かったが、その中でも後輩や同級生のいろんな人の協力があってここまで形になってきた」と、その過程での苦労と喜びを語る。

高校生活の中でも特別な行事となる運動会。
生徒たちは応援練習も入念に行い、本番に向けて気合十分だ。

熱戦の幕開けと予想外の展開

9月11日、青空のもと運動会が開幕した。
「正々堂々と戦うことを誓います」という選手宣誓の後、熱戦の火ぶたが切られた。
各グループは優勝を目指して真剣勝負を繰り広げ、仲間からは大きな声援が送られる。

前半戦最大の山場となったのは「騎馬戦」だ。ここでグループ長同士による大将戦が行われる。

サッカー部のライバル同士 紅樹のグループ長・兵頭拓君

黒潮の東君の対戦相手は、紅樹のグループ長である兵頭拓君。
実は二人はサッカー部のチームメイトで、ライバルでもある。まさに「絶対に負けられない戦い」だ。

東君は「お互い仲良くせずに、強がりながら戦ってきたので最後の最後、絶対に勝ち切ってやろうと思います」と意気込みを語った。

ルールは体が先に地面についた方が負け。激しい攻防の末…。

大将戦は、紅樹・兵頭君の勝利となった。
東君は悔しさをにじませたが、チームは奮闘し、騎馬戦全体では黒潮が勝利を収めた。

前半戦を終えて黒潮は4位。午後以降での巻き返しを狙うが、予想外の展開が待っていた。
この日の最高気温は34.4度と猛暑日に迫る暑さとなり、複数の生徒が体調不良を訴えた。

安全を考慮し、午後の部は翌日に延期となったのだ。

感動のフィナーレと青春の1ページ

翌日、ぬかるんだグラウンドで2日目の幕が開いた。
体育委員長は開会式で「昨日の雨でグラウンドがぬかるんでいます。僕の挨拶がすべっても、みんなの足は滑らないように気を付けてください」と明るく呼びかけた。

異例の2日間開催となった運動会だが盛り上がりは一段と増し、綱引きやダンス、応援合戦で、生徒たちは熱い戦いを繰り広げた。

そしてクライマックスは、全学年が参加する男女混合リレーだ。
グループ長がアンカーを務めるこの競技で、思わぬドラマが起きる。

連日の練習で足を痛めた東君は「見ての通り僕は今、歩けません」と苦しい胸の内を明かす。しかし、意地でリレーに出場した。

前半からリードを奪う黒潮。1位で東君にバトンが渡る。

そして...黒潮グループは見事、男女混合リレーを制した。
東君の奮闘が実を結んだ瞬間だった。

しかし、運命の結果発表。

ライバルの兵頭君率いる紅樹が総合優勝を果たした。黒潮は終盤で追い上げたものの、3位に終わった。

最後のグループ集会で、東君は「僕に付いてきてくれて、まずはありがとうございました。
どこのグループよりも最後まで残ってやぐらやったり人形やったり、一番団結して絆があったグループは黒潮グループだったと思います」と涙ながらに語った。

勝敗を超えた絆と思い出を胸に、生徒たちは忘れられない青春の2日間を駆け抜けた。
松山東高校の運動会という伝統は、こうして後輩たちに引き継がれていく。

(テレビ愛媛)

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