出産後も競技を続ける女性アスリートを支援する大会「LADY GO CUP」は、試合が1日で行われ、託児所を併設するなど、育児と競技の両立を可能にする環境を提供している。
専門家は、「持続可能な支援策が、社会全体で広がることが重要」と指摘している。

大会1日間「LADY GO CUP」子連れ参加OK

「キャリアも、育児も、あきらめない」女性アスリートの挑戦とは。

都内で開催されたシンポジウム
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東京・千代田区で9月27日、「スポーツのチカラで越えるジェンダーの壁」をテーマに、シンポジウムが開催された。

パネラーとして、女子プロゴルファーの有村智恵選手が登壇した。
ツアー14勝を誇る有村選手は、2024年4月に双子を出産したママでもあるが、遠征の多いプロゴルファーとして、出産後もプレーを続けることに、以前から難しさを感じていた。

女子プロゴルファー・有村智恵選手:
毎週地方で試合があるため、「月曜日に家にいられたらいいな」ぐらい。子どもを授かれたとしても、その先育てながら試合に出続けることは、かなり難しい。

30歳以上の選手たちのための大会

そこで2年前に立ち上げたのが、新たな女子プロゴルフの大会「LADY GO CUP」。
出産などで、プロの道を諦めることもある30歳以上の選手たちのための大会だ。

大会会場に設置される託児所

会場には託児所が設置され、子ども連れでも参加することができる。
そして一番の特徴は、通常の大会は4日間に及ぶこともあるが、この大会は1日だけとなっている。

女子プロゴルファー・有村智恵選手:
できれば出張がちょっと短い働き方ができないか、そういった競技があれば、競技生活と、自分においては子育てであったり、自分の人生の充実っていうものが両立可能なのかな。

バルセロナ五輪 アーティスティックスイミング銅メダリスト・奥野史子さん:
「LADY GO CUP」という大会を中心に、社会の課題解決ができていくことをあらためて感じました。

女子プロゴルファー・有村智恵選手:
ちょっとかなり次の大会への責任感がすごく、いま本当に大きなプレッシャーになって……。

「LADY GO CUP」の次の試合は、10月5日に滋賀で開催される。
ママになってもプロとしてプレーすることを諦めない、選手たちの熱い戦いが繰り広げられる。

育児とキャリアの両立へ…持続可能な工夫を

「Live News α」では、産婦人科専門医で、4人のお子さんを育てる母でもある稲葉可奈子さんに話を聞いた。

堤礼実キャスター:
ーー「LADY GO CUP」、稲葉先生はどうご覧になりますか?

産婦人科専門医・稲葉可奈子さん:
育児と仕事の両立について、最近配慮されるようになってきていますが、職種によって難しさがあるのが実情です。これまでの「しきたり」のままでは、育児と仕事の両立は難しいかもしれません。

それが、何かを変えたり、誰かに頼るなど、何かを工夫すると、解決策は見つかってきます。ここでポイントになるのが、持続可能な工夫であることです。

堤キャスター:
ーーそれは、どういうことでしょうか?

産婦人科専門医・稲葉可奈子さん:
例えば、家事も仕事もしっかりこなそうとして無理を重ねても、なかなか続かないですよね。自分の中で優先する順番をつけて、どこで手を抜けるか、誰に頼るのかを考えてほしいです。

どんな形でも、誰に頼ってもいいので、関わっている人たちが、みんな無理なく過ごせる形をそれぞれ見つけられるといいなと思います。

堤キャスター:
ーー1人で抱え込まずに、みんなで解決の方法を探っていけるといいですね。

産婦人科専門医・稲葉可奈子さん:
オフィス勤務の方も、テレワークができると、育児のしやすさが大きく異なるため、育児とキャリアの両立が可能になる職場を求めて、転職するというケースも少なくありません。

今回はアスリートのケースですが、あらゆる業種で、工夫することで、育児しながらでも、キャリアが継続できる道を見出すことができるのではないでしょうか。

社会全体の支援体制を広げることが重要

堤キャスター:
ーー少しでも負担を減らせるように、周囲の理解や協力は大切ですよね?

産婦人科専門医・稲葉可奈子さん:
キャリアとの両立にハードルがあるのは、育児だけでなく、妊活や不妊治療も同じです。ここで頼ってほしいのは産婦人科です。

かかりつけの産婦人科を持っていると、最善の方法を一緒に探ってもらえるはずです。これも自分が楽になる工夫のひとつです。

キャリアと、出産・育児のどちらも諦めなくてよいということを、今回、有村選手は示してくれました。この流れがほかのスポーツにも、さらには、社会全体にも広まってほしいと思います。

堤キャスター:
何かを頑張るために、何かを諦めなくてはならないときもあるかもしれません。
でも、世の中の理解や協力によって、自分の人生を最大限に楽しめる機会が増えていくことを期待したいです。
(「Live News α」10月2日放送分より)

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