渋谷区は多くの人が訪れることで雑踏事故や飲酒に絡むトラブルが起きるおそれがあるとして、去年と同様にハロウィーン目的で渋谷駅周辺に来ないよう呼びかけました。
しかし、警察による通行規制が行われたスクランブル交差点や渋谷センター街には、仮装をした若者や外国人などが訪れて混雑しました。
歩道橋に多くの人が詰めかけて滞留する場面や、階段の手すりにのぼる危険な行為をする人の姿も見られました。
10月31日夜からけ1日朝にかけては条例で禁止している路上飲酒をやめるよう呼びかける区のパトロールの人数をふだんより大幅に増やすなど、警戒を強めました。
パトロールでは路上飲酒をしている人を見つけると、飲まないよう指導して酒の缶を回収していました。
また、区が行った酒の販売自粛要請を受けて販売を取りやめた店もあったほか、飲食店や百貨店の中には客や従業員の安全に配慮して閉店時間を早めたり、休業したりする動きも見られました。
区によりますと、大きなトラブルはなかったということです。
仮装して渋谷を訪れた男性は「警備に税金がつぎ込まれているのは申し訳なく感じるが、楽しいので規制を強めても来る人がいるのはしかたがないと思います」と話していました。
“渋谷は警察が厳しい”と新宿に来る人も
新宿区は渋谷区が警戒を強める中、多くの人が流入してトラブルが起きるおそれがあるとして、ことし制定した条例に基づいて歌舞伎町周辺で路上飲酒を禁止するとともにパトロールも実施しました。
パトロールでは路上飲酒をしている人を見つけると、飲まないよう指導して酒の缶を回収していました。
去年のハロウィーンでは通称「トー横」と呼ばれるエリアに多くの人が集まったため、ことしは、さくで囲って立ち入りを禁止しましたが、周辺では仮装をした人の姿が多く見られました。
中でも目立ったのは外国人の姿で、大勢で輪になり飛び跳ねて大騒ぎする場面もありました。
中国からの留学生は「渋谷は警察が厳しいと聞いたので新宿に来ました。街の雰囲気を楽しんでいます」と話していました。
去年もハロウィーン当日に新宿を訪れたという大学生は「ことしは去年よりも人がかなり増えています。きょうは渋谷にも行きましたが規制が厳しく新宿の方が楽しめるのではないかと思います」と話していました。
一方、歌舞伎町の飲食店の中には店員が仮装してハロウィーンにちなんだ特別メニューを提供するところもあり、店の中でハロウィーンを楽しんでほしいと呼びかけていました。
店長の戸舘駿さんは、「去年より外国人の観光客が増えていると感じます。渋谷に行けないので、新宿に来たという客もいました。ふだんから路上飲酒をしている人がいるので、禁止する条例の制定をきっかけに街の雰囲気が良くなればいいと思います」と話していました。
ハロウィーンめぐるこれまでの経緯
渋谷駅周辺にはハロウィーンの時期になると大勢の若者や外国人が集まり、2018年には軽トラックが横転させられる事件が起きるなど飲酒に絡むトラブルが相次いでいます。
こうした中、去年、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが「5類」に移行すると、ふだんの週末にも渋谷の街で路上飲酒をする人の姿が目立つようになりました。
渋谷区によりますと、背景には5類移行後に外国人観光客が増える中で「渋谷は路上で飲酒ができる」といった情報が、SNSで急速に海外に広がったことがあるということです。
区が調べたところ路上飲酒をしていた外国人の数は去年6月の週末は1日あたりの平均で48.8人でしたが、ことし6月には2.7倍の134人に急増していました。
路上飲酒が横行する状態を放置すれば、これまでのハロウィーンより深刻なトラブルが起きるリスクが高いとして、区は年間を通じて路上飲酒を禁止するよう条例を改正し、10月に施行しました。
一方、隣の新宿区も渋谷区から多くの人が流入するおそれがあるとして、歌舞伎町周辺でハロウィーン当日の路上飲酒を禁止する条例を制定しました。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。