「心の距離メータ」を使ってペアの共感度を解析する学生ら=立命館大提供

 相手は自分のことをどう思っているのか――。最新技術でそれが可視化される婚活イベントが開かれる。滋賀県のオンライン型結婚支援センター「しが結(ゆい)」が12月に開催予定で参加者を募っている。【飯塚りりん】

 最新技術とは「心の距離メータ」。恋愛など対人関係の悩みを解消する手助けになるかもしれない技術で立命館大理工学部の岡田志麻教授(生体工学)をリーダーとした学生ら約40人が2020年から3年がかりで開発した。心拍数などを計測することで、相手に感じる親しさの程度をデータで示す。新型コロナウイルス禍で学生同士の対面での会話が難しくなったことから、「心の距離」を測る技術の必要性を認識したのがきっかけだという。

 会話時に相手への共感度が高いほど心拍数が上がったり、物理的な距離が近づいたりする現象を利用。腕に着けたアームバンドから心拍数や会話時の物理的な距離が連動したスマートフォンに送られる。

 12月21日に立命館大びわこ・くさつキャンパス(草津市)で開催するイベントでは、参加者全員がアームバンドを着けて1対1の会話やグループワークを実施する。同時にスタッフがスマホに送られてくるデータを分析。相手に共感するほど表示された円が赤く染まるという。

 分析結果から最も共感度の高い相手をその場で発表し、続くフリートークでその相手と一度は話すという流れでイベントを進める。

 県はコロナ禍で男女の新たな出会いの機会が減少したことなどから、出会いの場を提供して少子化対策につなげようと、22年に「しが結」を設立。AI(人工知能)が相性の良い相手を紹介してくれるシステムが特徴で、農業体験など地域の特性を生かした対面での婚活イベントも実施している。

 8月末時点の会員数は1491人で、延べ2149組のお見合いが成立。そのうち、36組(11月6日時点)が結婚する意思を固めて退会した。

 岡田教授らは「心の距離メータ」の完成後、小学校での対人関係において実験的に活用していたが、開発した学生から「恋愛にも活用できるのではないか」という提案があり、県に「しが結」での活用を持ち掛けた。

 岡田教授は「婚活だと相手の条件面に目が行きがちだが、結婚相手は長く一緒に暮らしていく人なので、心がマッチする相手を見つけてほしい」と話す。

 イベントの申し込みは12月11日まで。参加対象はおおむね25歳から40歳までの結婚を考えている独身の男女各15人で、応募多数の場合は抽選となる。参加費無料。問い合わせは「しが結」(050・1791・5830)。火、水曜日は定休日。

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