冬眠前のこの時期、活動が活発になるクマ。
しかし今年は少し様子が違うようだ。
山で起きている「ある異変」を調べた。
2024年も相次いだクマの目撃
11月9日、岩見沢市内で捕獲された冬眠前のクマ。
この記事の画像(21枚)体長は約1.5メートル。
撮影者が付近を歩くたびにクマは敏感に反応し、警戒している様子を見せていた。
「人がいる。歩行者が」(目撃者)
8月、道東の標茶町で撮影された映像だ。
歩道を歩く男性を追い掛けようとするクマの姿をカメラが捉えていた。
「逃げろ逃げろ逃げろ逃げた」(目撃者)
男性を追い掛けようとしたクマは車に気を取られたのか、道路わきに姿を消した。
男性はこの車に乗せてもらい難を逃れた。
こちらは夜の住宅街を歩くクマ。
7月、道北の枝幸町で体長2メートルのクマが現れた。
このクマは付近の水産加工場のごみを荒らしたとみられている。
出没は札幌市西区山の手の住宅街でも。
防犯カメラには玄関のすぐ近くを3頭が歩く様子が捉えられていた。
2024年も道内で相次いだクマの目撃。
一方、ここ数年でなかった「ある異変」が起きている。
ヒグマにとって10年ぶり “山の異変”とは
「札幌市西区の登山道入り口です。こちらミズナラという木なのですが、あたり一面たくさんドングリが落ちています」(斉藤健太 記者)
無数に落ちているのは「ドングリ」だ。
実は2023年、ヒグマの主食になるドングリの実りが回復傾向にあった。
道の調査によると、不作や凶作が続いていたドングリの実りは2024年、10年ぶりに“並作”となったという。
ドングリが不作だった2023年はクマの目撃も4055件と過去最多となったが、2024年は2023年に比べて激減している。
「10何年間歩いていてこんなにドングリやクルミの実もなったことない。今年は異常にある」
「すごく多いですよ。ドングリは大豊作。山ぶどうも多い。今年はクマ出てこないと思う。いままで出てきていたでしょ、エサなくてね」(いずれも登山者)
それでも“油断は禁物”
クマにとって秋は冬眠前に栄養を蓄えるための準備期間。
2023年は山にエサが少なく、行動範囲が人里まで広がる傾向もあったが、2024年は山に比較的エサがあるため目撃件数が減っている可能性があるという。
「5月~7月はいつも通り出没していたが、秋になるとピタッと出没が止まった。エサが豊富で広い範囲で、エサ探しに動き回る必要がなかったんだと思う」(道ヒグマ対策室 武田忠義 主幹)
ただ、油断は禁物だ。
秋は例年、クマによる人身被害が相次いでいる。
北海道南部の福島町の大千軒岳では2023年、消防隊員3人と男子大学生が襲われ、うち大学生1人が死亡した。
ヒグマ対策訓練も
「クマ発見。ゆっくり姿勢低くしながら接近します」(無線連絡)
ハンターが持っているのは模型の猟銃。
札幌の市街地などに体長約1.5メートルのクマが出没したという想定で11月11日、訓練が行われた。
「準備出来次第、発砲をお願いします」(無線連絡)
訓練は1週間にわたりクマが市街地などに出没を繰り返しているという想定だ。
札幌市が危険と判断しハンターが駆除した。
冬眠前のクマに安全対策の徹底を
2024年は2023年に比べて目撃件数は少ないが、いつどこで姿を現すのかわからなくなっているのが“現代のクマ”だ。
どのように注意すれば良いのか。
「つい数日前、雪が降ったが、クマはエサがある限りなるべく食べようと頑張る。クマによっては1月でも動いているクマもいる。寒くなったからといって安心しない。ハイキングとかで山に入るときはまだまだクマが活動しているので、音を鳴らして存在を知らせる。万一、出会ったとき用のクマスプレーを用意する。そのような対応をしてほしい」(道ヒグマ対策室 武田忠義 主幹)
冬眠前のクマはまだ活発に動いている。
山に入るときは音を出して存在を知らせるなど、安全対策の徹底が求められる。
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