独自取材でニュースを深堀りする「シンソウ」。児童虐待を防ぐために重要とされている警察と児童相談所の連携について取材しました。

(訓練)「怒鳴り声」

11月22日、岡山西警察署で行われた家庭訪問を想定した合同訓練。コロナ禍を経て5年ぶりの実施でした。

「警察が来る」

児童相談所の相談員からの連絡で駆け付けた2人の警察官。しかし、特に虐待について詳しく調べるのではなく、相談員が話を聞いているときも同席はせず、外で待機です。

(訓練の様子)

これだけでも児童虐待を防ぐための大きな抑止力につながると岡山市こども総合相談所の宮野所長は話します。

(岡山市こども総合相談所 宮野美保子所長)
「被害を防ぐことを目的とした支援は急いで求められるので、警察との連携は欠かせない」

岡山市によりますと2023年の1年間で虐待の疑いがあるとして警察から児相に通告があった件数は1252件、2016年に児童福祉法が改正されて以降、増加傾向です。

そして2022年、岡山市で6歳の女の子が母親とその交際相手の男から長期にわたり虐待を受け死亡した悲惨な事件。岡山市などが開いた再発防止に向けた有識者会議では、家庭の状況を詳しく把握するための警察などから児相への情報提供が不十分だったことなどが指摘されています。

(岡山市こども総合相談所 宮野美保子所長)
「日頃から顔を見る関係を作ったり、お互いの専門性に立った意見交換をする中で、少しでも多くの子供を虐待から守ろうという意識を持ち合っている」

今回の訓練を経て、警察が介入するタイミングや情報共有の方法について確認できた一方で、宮野所長はその連携の難しさを語ります。

(岡山市子ども総合相談所 宮野美保子所長)
「(児童相談所は)子供を保護するだけでなく、子供と家庭に対して支援していく機関なので、警察と常に(情報を)共有していることが分かると、市民が相談しにくくなることを心配している」

課題の残る警察と児童相談所との連携。虐待の被害を防ぐために取り組みを加速させる必要があります。

警察や児童相談所では子育てで悩んだり、虐待が疑われるケースを見つけた時は全国共通の虐待対応ダイヤル「189」などを通じて早めに相談するよう呼びかけています。

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