平家の落人伝説が残る広島県福山市沼隈町の横倉地区で、平家の旗印の赤色にちなんだ「平家谷あかいうどん」を、住民グループなどが開発した。地域の新しい名物にしようと、観光客に提供している。

 市南部の山あいにある横倉地区は「平家谷」とも呼ばれる。平清盛のおいの通盛(みちもり)が源氏との戦いに敗れた後、妻の小宰相(こさいしょう)と隠れ住んだという言い伝えが残る。地区には通盛をまつる神社もある。

 うどんを開発したのは地元の60~70代の女性10人でつくる「平家谷おばちゃんガイド」。観光案内やゆず茶の加工販売などに取り組んでいる。

 横倉地区では今年、30年以上にわたって親しまれていた「平家谷花しょうぶ園」が閉園。「おばちゃんガイド」代表の上田政美さん(71)は「新たな地域活性化の目玉を、なにか平家の赤にちなんだもので作りたかった」と話す。

 地域の特産品開発を手がける会社「ぬまくま夢工房」(福山市御船町)社長の中島基晴さん(57)にも相談し、以前から観光客に提供していたうどんの麺を赤くするアイデアが生まれた。

 夢工房で9月から試作を重ね、天然色素を麺に練り込んで鮮やかな赤を出すことに成功。試食会でも好評だったことから、11月下旬から地区の休憩施設「小宰相庵(あん)」で提供を始めた。

 「本当は、源氏に見立てた白い麺の上に赤い麺をのせて『平家が源氏に勝つ』ストーリーをうどんで表現しようと思ったが、作りやすさも考えて赤だけにした」と上田さん。メンバーの思いの詰まった力作に、観光客からの評判も上々という。

 沼隈町産のぶどうジュースなど特産品を商品化してきた中島さんは「『食』は観光客を呼び込む重要なコンテンツ。うどんをきっかけに、(アニメ映画『崖の上のポニョ』の舞台のモデルとなった)鞆の浦などをめぐるコースに、組み入れられる可能性もある」と話している。

 提供は1日20食程度の事前予約制。うどんに地元野菜の漬けもの、おこわご飯、ゆず茶などもセットで1500円(税込み)。12月の営業は8、11、14、18日の午前11時~午後2時の予定。年明けは1月17日から3月までで、原則金曜と土曜の営業。問い合わせと予約は上田さん(080・1647・9332)へ。

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