東京大大学院のウェブサイトの内部に一時、「六四天安門」という文字列が埋め込まれていたことが6日、大学などへの取材で判明した。書き込みがあったのは入試情報などを掲載したページの表示内容を規定する「ソースコード」で、中国からの閲覧が制限された可能性がある。中国人留学生の入学を阻害する目的があったとみられ、東大は「大変遺憾だ」として内部調査を進めている。
ウェブ上に保存されたアーカイブによると、「六四天安門」の文字列が確認されたのは、東大大学院新領域創成科学研究科メディカル情報生命専攻が2023年度に開設していたサイトのうち、英語版のトップページと入試関連の情報を掲載したページのソースコード。夏の時点では書き込まれていなかったが、23年11月に確認された。
ソースコードはサイトの設計図にあたり、特定の文字列をキーワードとして書き込むと、検索エンジンによってはヒットしやすくするなどの効果がある。IT業界関係者によると、天安門事件に関連するキーワードがソースコードに書き込まれた場合、検閲システムにはじかれて中国からは閲覧できなくなる可能性があるという。
東大は既にキーワードを埋め込むことができないようシステムを変更。書き込んだ人物などについて調査を進めている。
東大広報課は取材に対し「本学は国内外から多彩な学生や教職員を迎え入れる方針を掲げ『世界の誰もが来たくなる大学』を目指している。特定の国からのアクセスを阻害する意図でキーワードが混入されたものだとすれば不適切な行為であり大変遺憾だ」とコメントした。
東大の公表資料によると、外国人留学生は年々増加傾向にある。24年5月時点で5104人おり、20年前の04年と比較して約2・4倍に増えた。このうち中国人は66・5%を占め、特に高度な研究に取り組む大学院(専門職学位課程など含む)では69・4%に上っている。【井川加菜美、斎藤文太郎、西本紗保美】
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