長野県塩尻市の小学校は休み時間、図書館に長い行列ができます。児童1人当たりの年間の本の貸し出し数はなんと100冊以上。その秘密を取材しました。

塩尻市吉田小学校の休み時間。子どもたちが続々と廊下に出てきました。

長い行列の先は図書館。12月4日から「冬の読書旬間」が始まり、連日、貸出数が1000冊を超えています。

4年生:
「ミステリアス系とか小説系がとっても大好き」
「ぼく虫が好きなんですけど、まだ知らないことが書いてありそうだから。本の中は誰にもじゃまされない、自分の世界に行ける」

9日は20分の休み時間中、全校の4割に当たる約200人が訪れました。なぜ、こんなに図書館が人気なのでしょうか?

児童:
「(いっぱいになった?)うん、だからここ(欄外)にスタンプを押してもらう」

こちらは「読書ビンゴ」。「伝記」「SDGsの本」など、さまざまなジャンルが書かれていて、借りるとスタンプがもらえます。

さらに、本を借りた後はある「紙」を受け取って廊下の壁へ。

児童:
「(何を貼っているの?)パズル!本の表紙のパズルができる」

「読書パズル」は完成すると、クラスごとに本の表紙が表れます。

子どもたちの達成感や好奇心をそそる仕掛け。学校では「子どもたちに本と向き合う時間を作ってほしい」と6年前からこうした取り組みを行ってきました。

塩尻市吉田小 学校司書・山下奈巳さん:
「サブスクもあれば、ゲームや動画もあり、読書は『時間をつくってするもの』に変わってきている。楽しみながら、いろいろな書籍を手に取ってほしい」

さまざまなジャンルに関心を広げてもらおうと、全職員におすすめの1冊を紹介してもらったり、給食と連動した食べ物が出てくる本などを紹介したりするコーナーも。

塩尻市吉田小 学校司書・山下奈巳さん:
「棚に入ってる本の魅力はなかなか気づいてもらえない部分もあるので、手に取りやすい状況をつくっています」

もちろん借りるだけではありません。週1回の「図書の時間」をのぞいてみると児童たちは集中して本を読んでいました。

今や吉田小の1人当たりの年間貸出冊数は全国平均の倍以上の112冊。こうした取り組みが評価され今年度、文部科学大臣表彰も受けました。

5年生:
「自分の世界に入れるからそれがいい。(図書館は)本を好きになれるきっかけをつくってくれるからいいと思う」
「こういう本(小説)の場合はハラハラドキドキするところがあったり、こういう本は知識を得られる。次何の本借りようかなとか、続きはどうなるんだろうと(ワクワクする?)そんな感じ」

塩尻市吉田小 学校司書・山下奈巳さん:
「人生に困ったことや、つらいことが出てきた時、本というのは自分の身近にあると小学校時代に知ってもらいさえすれば、どこかで本の存在を思い出せる時間が来ると思う」

行列ができる図書館。子どもたちの大切な居場所になっています。

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