岩手県を代表する酒蔵の一つ、南部美人が県内初となるウイスキーの生産に取り組んでいる。「伝統的酒造り」で培った技術を生かし新たな挑戦だ。
二戸市の老舗の酒蔵「南部美人」は、2023年9月から県内初となるウイスキーの生産に取り組んでいる。
南部美人の久慈浩介社長は「日本酒の世界観で造るジャパニーズウイスキーを目指している」と話す。
南部美人ではコロナ禍で品薄となった消毒用アルコールの製造に取り組んだことをきっかけに、3年前、蒸留酒であるジンとウォッカの生産を始めたが、それが今回のウイスキー造りにつながったという。
南部美人 久慈浩介社長
「日本酒の伝統的技術をウイスキーにどうしたら生かせるのか。ジャパニーズウイスキーが(海外で)すごく評価されているが、そこに伝統的な日本酒の価値観が入ったらもっと膨らむんじゃないかと」
ウイスキー造りにはユネスコの無形文化遺産に登録された「伝統的酒造り」で培った技術も生かされている。
原料には国産の麦芽を使用し、日本酒の仕込みと同様に折爪岳を水源とする伏流水で麦汁をつくっていて、発酵の際には日本酒の酵母もかけ合わせている。
熟成には40個のたるを使用していて、たるはクリやミズナラなど4種類の木で作られていて材質によって異なる香りや味が楽しめるという。
そして南部美人では12月10日からまた一つ新たな試みとして、熟成途中のウイスキーの試飲を始めた。
通常、ウイスキーとして販売するには3年以上の熟成が必要だが、その過程を楽しんでもらおうと試飲の提供を始めたのだ。
試飲できるのは仕込んでから1年ほど経ったアルコール度数63%の原酒だ。
試飲を体験した高橋礼子アナウンサーは、その印象を次のように語る。「色はほんのり琥珀色で木の香りとレーズンのような甘い香り。アルコールの強さの衝撃が初めにやはりくるんですけれども、落ち着いてくると香りの良さだったりとか後味のすっきり感も伝わってきてとてもおいしい」
南部美人 久慈浩介社長
「きれいで美しい上品なウイスキーを目指している。じっくりゆっくりウイスキーの味を楽しみながら、飲んだ時に二戸の素晴らしい風景を思い浮かべるようなウイスキーを造りたい」
南部美人のウイスキーは早ければ3年の熟成を経た2027年に販売される予定だ。
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