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 2019年に起きた参院選広島選挙区をめぐる大規模買収事件で、安倍政権で法務大臣を務めた河井克行氏が逮捕された。東京地裁で懲役3年の実刑判決が下され、河井氏は控訴を断念して収監、2023年に出所した。

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 かつて受託収賄などの罪で最高裁まで争い、2年の実刑判決を受けて服役経験のある鈴木宗男参議院議員は、河井氏に「狙われたというか刺された」と同情を示し、「司法の危機。一握りの政治家を挙げるのが使命だという、間違った頭づくりだ」と問題を指摘する。

 河井氏は1963年広島県生まれで、広島県議を経て、1996年に自民党から衆議院議員選挙に出馬して初当選した。2001年に案里氏と結婚し、河井氏の勧めで案里氏は広島県議会議員になった。法務副大臣や内閣総理大臣補佐官、党総裁外交特別補佐などを歴任したが、2019年に案里氏が広島選挙区から参院選に出馬したことで、政治人生が大きく変わった。

 鈴木氏は「反河井勢力が広島にはある。自民党内の抗争だ」と解説する。岸田前総理のおひざ元である広島では、県連が推す岸田派の現職が6期目の当選を目指していた。そこに後から参戦したのが、党本部が推す案里氏で、改選2議席を同じ自民党候補が争う異例の事態となった。案里氏の応援には、当時の安倍総理らも駆けつけたが、河井氏は「県連は、安倍総理が乗る街宣車も出してくれず、東京の本部から車を用意した」と振り返る。

 結果として、案里氏は当選するも、岸田派の現職は落選となった。しかしその後、案里陣営がウグイス嬢に公職選挙法の規定を超える報酬を支払った疑惑が、週刊文春に報じられ、河井氏は就任わずか51日目で法務大臣を辞任した。

 そして2020年6月、東京地検特捜部が、広島県内の地方議員や首長ら100人に投票などを依頼し、約2900万円の報酬を渡したとして、河井夫妻を逮捕。河井氏は「合法だと信じていた」として、一貫して無罪を主張した。

 公職選挙法では、政治家や選挙立候補者が、選挙区内で寄付することを禁じている。案里氏への選挙応援を依頼するために現金を渡したならば、買収罪になる。一方で政治資金規正法では、政治家が代表を務める政治団体を通じての資金提供が認められている。ただし、領収書を交わし、双方が政治資金収支報告書に記載することが条件だ。

 鈴木氏は「自由民主党の所属議員が、党の県議会議員・市会議員に活動費を渡すのは当たり前だ。届け出をしておけばなんでもない」と語る。河井氏は「領収書の提出は毎年5月。その前を狙ったかのようにガサ入れされ、領収書などはそもそもなかった」と説明する。

 捜査をめぐっては、検察による違法性の高い「司法取引」の疑いが浮上した。ある広島県議の任意聴取で、検察は「ターゲットは河井夫妻。先生には政治家を続けてもらいたい」と言ったとして、起訴しないことをにおわせ、検察の意図に沿う供述に誘導したのではないかとの疑惑がある。

 鈴木氏は「私の事件でも『俺たちの狙いは鈴木だ。協力するかで判断は違う』と事前誘導した。一部検察官がストーリーを作って、はめ込んでいく。だから私は最高裁まで戦い、負けたから収監に応じた」と話す。

 東京地裁は、河井氏に懲役3年の実刑判決を下した。河井氏は判決を不服として控訴するも、後に取り下げて、実刑が確定した。しかし、買収罪は渡した側が有罪ならば、受け取った側も有罪になる“対向犯”だが、河井氏が渡した相手とされる100人は、ひとりも起訴されなかった。

 その後、検察審査会は100人のうち、現職の地元議員ら35人を起訴すべきだとする「起訴相当」と議決。検察当局による再捜査で、35人中22人が罰金刑、11人に有罪判決が下された。そして先日、最後の1人だった広島県議・渡辺典子被告の上告棄却に対する異議申し立てを最高裁判所が棄却し、罰金10万円・追徴金10万円の有罪判決が確定。無罪を主張した12人全員が有罪判決となった。

 鈴木氏は収監前に再審請求を行い、現在は最高裁の判断を仰いでいる。その経験から、控訴を断念した河井氏に対し、「勝負するとなれば、最高裁までやった方が良かった。戦っていれば人生が変わった。戦うに値する事件だった」とコメントした。

(『ABEMA的ニュースショー』より)

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