今年は首都圏を中心に強盗事件が相次いだが、先週、自民党は警察官が身分を隠して犯罪グループに接触する「仮装身分捜査」に向けた緊急提言を行った。闇バイト撲滅につながるのだろうか。
■闇バイト対策に効果? 「仮装身分捜査」とは
「仮装身分捜査」とは? この記事の写真まずは、仮装身分での捜査について見ていく。自民党が闇バイト対策を強化するための緊急提言をまとめている。
治安テロサイバー犯罪対策調査会の高市早苗調査会長が11日、闇バイト対策の「大きな柱が仮装身分捜査」だとして、石破茂総理大臣に「仮装身分捜査」導入を柱とする緊急提言を提出した。
さらに警察庁の露木康浩長官も12日、「闇バイト募集では身分証明書の画像などを送信させる手口が多い。仮装身分捜査が必要」だとしている。
「おとり捜査」との違いは?元々あった「おとり捜査」は捜査員が身分を隠し、犯行相手に接触する捜査。身分証がなく、闇バイトの犯行グループとの接触が困難だった。
一方、「仮装身分捜査」とは“架空の身分証明書”を使い、犯行グループに接触。犯行グループに入り込んで実態を解明する捜査となる。
国家公安委員長主催の有識者らによる研究会では2010年から2012年にかけて行われた国家公安委員長主催の有識者らによる研究会ではアメリカ、ドイツ、フランス、イタリア、オーストラリアには潜入捜査員の仮装身分を認める制度があると報告。「仮装身分捜査の実効性向上の観点からも検討が望ましい」との意見が出た。
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■SNSへの対策も…実効性に課題■SNSへの対策も…実効性に課題
10月、横浜市青葉区の強盗殺人事件ではSNS事業者にも厳格化を要請した。しかし、実効性に課題も残されている。また、SNSを使った闇バイトへの勧誘方法も問題視されている。
そもそも闇バイトはSNSや求人サイトなどで募集され、秘匿性の高い通信アプリに誘導し、犯行に加わらせるのが主流だ。
実際、10月に起きた横浜市青葉区の強盗殺人事件で逮捕された宝田真月容疑者は「短期間で稼げるアルバイトをSNSで探し、『ホワイト案件』という投稿を見つけ指示役とつながった」と説明している。
自民党の緊急提言そのため、自民党の提言ではSNS上での労働者募集の際、募集者の連絡先表示を義務付ける。SNSや通信アプリの事業者は「本人確認を厳格化」、外国事業者へは「日本法人窓口の設置」をすることを要請。捜査当局と必要な情報を迅速にやり取りする環境を整えるべきとしている。
自発的に対策を行う会社も一方で、自発的に対策を行っている会社もある。
スキマバイトなどアルバイトの仲介アプリを運営する「タイミー」は6日、掲載前に求人内容を全件チェックするなどの対策を公表した。
タイミーの小川嶺社長は6日、「闇バイトから働き手を守り、疑わしい求人を徹底的に排除する」と述べている。
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■年末年始の防犯対策 行政が補助も■年末年始の防犯対策 行政が補助も
現金の手持ち増える年末、自宅への侵入対策など様々な防犯対策が呼びかけられている。年末年始は犯罪が急増するということで、防犯対策について見ていく。
去年12月24日、東京・国分寺市で起きた事件。先月、81歳の女性を突き飛ばし現金の入ったバッグを奪ったなどとして、18歳の高校3年生の男ら2人が逮捕された。
闇バイトとの関連は報じられていないが、朝日新聞によると、逮捕された1人は「クリスマスや年末年始に遊ぶ金が欲しかった」と説明しているという。
元大阪府警刑事で犯罪ジャーナリストの中島正純さんによると、年末年始は金品を狙った犯罪に注意が必要だという。
理由は、ボーナス支給の時期で買い物の機会も多くなり、財布のひもが緩みがちで、多額の現金を手元に置くこともある。一方、犯罪を起こす側も、年を越すのにお金が入り用になり、闇バイトへの応募も増加する恐れがある。
防犯対策が重要になってくるが、行政が補助してくれる場合もあるようだ。
防犯カメラやモニター付きインターホンなどを購入設置すると、補助をしてくれる自治体もある。
埼玉県深谷市では、来年1月1日から3月14日まで65歳以上のみの世帯を対象に、半額相当を地域通貨で補助。ただし、上限は1万円だ。
東京・三鷹市も、来年2月から受け付け開始予定で今年10月30日以降に設置したものも申請が可能。市内の住宅や事業所などが対象で、上限は1万5000円で半額を補助する。
さらに、今年度補正予算案に闇バイト強盗への警察の対応力強化に向けた予算6億5600万円が盛り込まれた。
強盗の実行役から押収した携帯電話から関わった人物の関係性を分析するための機材を充実させ、SNSで「闇バイト」などと検索した人に対し、警察が注意を呼びかける広告を配信するという。
(「大下容子ワイド!スクランブル」2024年12月17日放送分より)
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