根本的な治療法がなく、不治の病とされてきたアルツハイマー病。このアルツハイマー病の進行を抑える画期的な治療薬として2023年12月に販売が始まったのが、「レカネマブ」だ。このレカネマブについて医師に聞いた。

新たな治療薬“レカネマブ”とは?

「今までとは全く機序が異なった、新しい薬が認知症の現場で使えるようになった」

新潟大学脳研究所で認知症を専門とする池内健教授がアルツハイマー病の進行を抑える画期的な薬と話すのは、国の承認を受け、2023年12月に販売が始まった「レカネマブ」だ。

新潟大学脳研究所 池内健 教授
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「今までの認知症の薬というのは症状を緩和することを目的とする薬で、長期的には効果が減弱していくという問題があった。新しいレカネマブという薬はアルツハイマー病の原因となるアミロイドβを直接的に除去することによって病気の進行、そのものを抑制する」

レカネマブ(画像提供:エーザイ)

原因物質の一つとされる「アミロイドβ」が神経細胞を傷つけ、認知機能が低下すると考えられているアルツハイマー病。

池内教授は「アルツハイマー病の方の脳の中を調べてみると、アミロイドβというタンパク質がたまってくるということが、最初に起きるということが分かっている」と話す。

レカネマブはこのアミロイドβ自体を取り除く初めての治療薬で、病気の進行を遅らせ、認知機能の低下を緩やかにすることが期待されている。

県内では2月以降、30人以上が投与を始めているという。

投与できるのは早期の患者のみ「早期発見が重要」

今後使用する患者の増加が予想されるが、アルツハイマー病の全ての患者に有効なわけではない。「レカネマブの効果が期待できる方というのは、比較的早期のアルツハイマー病の方になる」

レカネマブは壊れた神経細胞を再生することはできないため、投与できるのは早期の患者だけ。物忘れが多いなどの「軽度認知障害」、日付が思い出せないなどの「軽度認知症」の患者に限定されている。

このため、重要となるのが症状の「早期発見」だ。池内教授も「物忘れなどの症状に気づかれた場合には、早めの医療機関への受診が大事になってくる」とその重要性について強調。

ただ、自己負担額は3割負担の70歳未満で高額療養費制度を利用しても、月額約5万7000円と決して安くはない。

それでも「こういった新しい認知症の薬が認知症の方、家族にとってその人らしい生活ができるための一つの選択肢になることを願っている」と池内教授は話す。

さらに選択肢を提供すべく、新潟大学でも新たな治療薬の開発が進められている。

(NST新潟総合テレビ)

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