JR九州が鉄道運賃の値上げを検討していること13日分かった。今後、値上げ幅や実施時期を決め、2024年度中にも国土交通省に申請する。同社の運賃値上げは、消費増税時を除けば1996年以来となる。老朽化した鉄道設備の更新、サービス維持に向けた人材確保のための費用に充て、鉄道維持に向けた原資を確保する狙いがある。
同社によると、23年度の鉄道事業の運輸収入は新型コロナウイルス禍から回復しつつあるもののコロナ禍前の95・8%にとどまる。鉄道の利用者もテレワークの普及など生活様式の変化などに伴い、コロナ禍前の94・2%になるなど経営環境は厳しくなっている。
鉄道運賃は人件費や設備費などの経費に適正な利益を上乗せした「総括原価」に基づき算定される。同省は4月、27年ぶりに見直した総括原価の算定要領で、設備投資計画の確認などを条件に3年を超える減価償却費などを計上できるようにした。また過去の災害復旧費の平均的な額を将来的に起こりうるものとして盛り込めるようにし、必要な費用を運賃に反映しやすくした。
古宮洋二社長はこれまでの定例記者会見でも「国と打ち合わせをしながら運賃改定の準備を鋭意進めているところだ」と述べるなど、運賃改定の意向を示していた。【下原知広】
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