名札に変化が起きています。これまでは「顔写真にフルネーム」が記載されていましたが、最近は「名字のみ」が増えています。一体なぜなのでしょうか?
■土浦市「名札は所属と名字のみ」 きっかけは
茨城県の土浦市役所では、2024年度から顔写真とフルネームの記載が無くなり、名札は所属と名字のみ。きっかけはこんな出来事でした。
この記事の写真は19枚 土浦市 安藤真理子市長「業務で対応中に、名札の写真を撮られることがあったり…」
今年1月のこと。窓口で対応中だった女性職員が、相手の男性から唐突に写真を撮られたといいます。2人の間にトラブルは無かったものの、名札を付けた職員は不安を訴えました。
また、男性職員が見知らぬ男性からSNSで休日の行動を検索され、窓口で伝えられたこともあったそうです。
土浦市 安藤真理子市長「職員の不安を払拭するためには、このような変更はやむを得ない。この時代の流れで仕方ないと思っている」
名札の変更から1カ月。職員と市民、それぞれの反応は…
職員「いまの時代、SNSがすごく発達しているので率直にとてもうれしいなと思う」 職員
「何かあってからでは遅いので非常に安心した」 土浦市民
「不便はない」
「名字までは提示してくれているので、市民が困るというほどではないのでは」
お隣、つくば市でも4月からは名字のみ。しかも「ひらがな」表記です。
つくば市役所 総務部 松本光由さん「プライバシーを守る観点からも、必要最低限の情報・表記で名札は対応するという方向で考えている」
■企業も名札廃止 背景にカスハラ対策
この変化の波は企業にも押し寄せています。物流大手の佐川急便では、トラックに付けていた名札を廃止しました。
企業が名札を廃止する背景には、顧客が理不尽な要求を突きつけるカスタマーハラスメント、いわゆる“カスハラ”の社会問題化があります。
JR東日本では4月、カスハラに対する方針を発表。カスハラには「対応しない」とするなど、カスハラを容認しない姿勢は広がっています。ただ、難しいのはその“線引き”です。
ハラスメントの法律問題が専門成蹊大学法学部 原 昌登教授
「どこからが許されないハラスメントになるか、線引きが難しいというのは事実だと思う」
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■どこからカスハラ? 難しい線引き■どこからカスハラ? 難しい線引き
井澤健太朗アナウンサー「カスタマーハラスメントと正当なクレームとの線引きはどこにあるのか、街の人に話を聞きました」 アーティスト作家(20代)
「カスハラとクレームの境界…一緒だと思うけど、でもクレームはそこから私たちもここを改善した方がいいとか、気づきを得ることがあると思うが、カスハラはシンプルにメンタルが削れていきますね」
飲食店に勤める男性が経験したカスハラは「コーヒーの値段が高い」と詰め寄られた際のその言い方でした。
飲食業(20代)「銀座でもこんな高い値段じゃない」
顧客が企業に理不尽な要求を突きつけるカスハラをめぐり、国も対策の検討を進めていることが分かりました。
林官房長官「本年夏を予定をしている報告の取りまとめに向けて、引き続きカスタマーハラスメント対策を含め、専門家の方々に議論いただく考えであります」
厚労省はガイドラインで、カスハラに当たる行為の例を挙げています。ただ、現場で働く人がこれにどう“線引き”すれば良いのでしょうか?
飲食店に勤める男性は…
飲食業(20代)「コーヒー、メニュー表にも値段が載っているが、会計のときに『こんな値段高くない』と」
「(Q.コーヒーはいくら)450円ぐらい。『銀座とかでもこんな高い値段じゃない』みたいな。スタッフ側がどうしても対応できないようなものを言われたら、さすがにカスハラになってしまうのではないかと思う」
カスハラの“線引き”について専門家は…
成蹊大学法学部 原 昌登教授「1つは、要求する内容が妥当かどうか。もう1つのポイントは、要求を実現するための手段、発言や行動・言動。この2つがカスハラと正当なクレームを見分ける大きなポイント。職場で起きるパワハラやセクハラについて、研修などで知る機会があると思うが、そういったことは顧客であっても、店や会社に対してやってはいけないんだと徹底するのが良い」
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