「こんぴらさん」として知られる金刀比羅宮(ことひらぐう、香川県琴平町)や東京拘置所内にある旧小菅刑務所庁舎(東京都葛飾区)が、国の重要文化財になる見通しとなった。文化審議会は17日、新たに8件の建造物を重要文化財に指定するよう、文部科学相に答申した。

 金刀比羅宮は、門前町から785段の石段をのぼった先にある本宮や別宮などの12棟。いずれも明治時代の神仏分離に伴い、神社として再興した際に建てられた。仏教色を排した白木を用いた本宮など、上質で独特の社殿群として評価された。江戸時代に建てられた旭社(あさひのやしろ、旧神宮寺の金堂)など3件はすでに重文に指定されている。

 旧小菅刑務所庁舎は、1929(昭和4)年に完成した。翼を広げた鳥のような独創的な外観で、幾何学的なデザインを施した内外装が特徴だ。自由な造形表現をめざした表現主義建築の末期の傑作として重要という。

 刑務所建築の重文指定は、旧網走監獄(北海道網走市)、旧奈良監獄(奈良市)などに次ぎ4例目。

 また、世界最古の木造建造物である国宝の法隆寺金堂(奈良県斑鳩町)に、3284点の古材を追加指定する。このうち1201点は建立当初の飛鳥時代のもの。戦後の壁画焼損後の修理の際、再使用されなかった部材が境内で保管されてきた。

 また、文化審議会は、佐渡市小木町(新潟県)と須坂市須坂(長野県)の町並みを重要伝統的建造物群保存地区に選定することも求めた。

 ほかの重文の新規・追加指定は次の通り。

 旧岩淵水門(東京都北区)▽園城寺(おんじょうじ、大津市)▽対龍山荘(京都市左京区)▽斎(いつき)神社本殿(京都府綾部市)▽郭家住宅(和歌山市)▽旧大浜埼(おおはまさき)通航潮流信号所施設(広島県尾道市)▽追加指定として、菅野家住宅の離れ座敷及び台所など(富山県高岡市)、旧山邑(やまむら)家住宅の土地(兵庫県芦屋市)(筒井次郎)

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