北海道で相次ぐクマの被害。北海道北部の名寄市では対策の切り札として、ドローンの活用に期待が高まっています。

 北海道東部にある根室市の林道を走行中の車。クマを目撃した直後、衝撃の出来事が。

 ワイパーがはずれ、フロントガラスは大破。

 ドライバーらは無事に避難しケガはありませんでした。

 一方、北海道では街中でもクマの目撃が相次いでいます。

 4月、住宅地での目撃が相次いだ名寄市。観光客がクマに襲われる事故もあり、住民からは不安の声が上がっています。

 「ちょっと出歩けないなという感じ。散歩とかも控えている」(名寄市民)

 被害をどう防ぐか。ドローンスクールを運営する名寄自動車学校が対策の切り札として準備を進めているのが…。

 直径約1.2メートルもある巨大なドローン。その名も「ハンタードローン」です。

 「猟友会と一緒になって開発されたドローン。おそらく北海道で導入は初」(名寄自動車学校 和田敏明社長)

 その能力は…

 クマが苦手な「猟犬の鳴き声」が!

 クマを山に帰すことが狙いです。

 スピーカーからは人の声を流し、緊急時に住民に危険を知らせることもできます。

 さらにこんな機能も…

 上空から大きな音を出す機能も搭載。

 ハンタードローンは、京都の猟友会やドローンスクールなどがハンターの減少や高齢化などを理由に開発しました。


 本州ではすでに、指定管理鳥獣の捕獲などに活用され、シカやイノシシなどへの効果が認められています。

 クマへの活用例は少ないですが、猟犬の鳴き声などが苦手なクマにも同様の効果が期待されています。

 一方、課題もあると言います。

「(クマがパニックになり)住民の方に向かって来た場合、どうなりますか。ドローンだけでは対応できない。猟友会のみなさんや色々な方の協力を得て、カバーしていかなければならない」(名寄自動車学校 和田社長)

 名寄市内では自動車学校、市や警察などが連携し、課題を検証した上でハンタードローンの導入に向けた協定の締結を目指しています。

 一方、名寄市によりますと、2023年のクマによる農業被害額は120万円を超える状況です。

 被害に悩む農家の中には、個人としてある決断をした人もいます。

 「1台170万円くらい」(農家 水間健詞さん)

 自分の畑を守るため、ハンタードローンの購入を決めたのは、名寄市で農業を営む水間健詞さんです。


 毎年のようにクマがソバ畑を荒らし、年間の被害額は数十万円規模に上っていました。

 「雪でぺったんこになっているけど、雪降る前から、クマに踏まれて同じ状態。このくらい(立っている)とコンバインで刈れるんですけど、踏みつけられて圧縮されちゃってるんで、上から刈れないんです」(水間さん)

 少人数で畑を管理する水間さんにとって、ハンタードローンは画期的な対策です。


 「(ソバ畑は)外周で約800メートルある。(電気柵で)囲うだけでも手間だし、囲うために生身で、ここを歩かなければならないのも怖い」(水間さん)

 ソバの収穫が始まる前の8月ごろから、ハンタードローンを使用する予定です。

「(昔は)クマの生活もあると寛容な気持ちで見ていられた。ここ10年くらい、こっちの取り分が全く無くなるくらい被害がある。クマの取り分が1割、僕が9割、それくらいになってくれればいい」(水間さん)

 ドローンの活用で身近に迫るクマの脅威に対抗できるか、期待が高まっています。

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