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「岩盤サービス価格」そもそも何?
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【ロードサービス料】JAFが料金値上げ
「岩盤サービス価格」そもそも何?
民間のシンクタンク「みずほリサーチ&テクノロジーズ」は、「サービス」の価格のうち、2000年以降に前年の同じ月と比較した上昇や下落の変動率がほとんどのケースで2%以内となってきた28の品目を「岩盤サービス価格」と位置づけてきました。
これらの品目はバブル期までは大幅に上昇する傾向が続いていましたが、1990年代後半以降は価格の変動があまりみられなくなりました。
しかし、シンクタンクによりますと28品目の上昇率の単純平均は4.0%となり、3月の1.1%から大幅に上がりました。
《主な「岩盤サービス価格」の4月の上昇率》
「ロードサービス料」 74.1%
「家事代行料」 8.5%
「自動車教習料」 1.5%
「マッサージ料金」 1.5%
「理髪料」 1.4%
「私立の大学授業料」 0.4%
「民営家賃」 0.3%
「ロードサービス料」の大幅な上昇が全体を押し上げた形ですが、「ロードサービス料」を除いた上昇率の単純平均は1.4%と3月よりも0.3ポイント上がっています。
【ロードサービス料】JAFが料金値上げ
車の故障やトラブルに対応するロードサービスを提供するJAF=「日本自動車連盟」は、年間4000円の会費を支払う会員はほとんどのサービスを無料で受けることができ、4月末の時点で2050万人余りが加入しています。
JAFではサービスの公益性が高いことからこれまでは料金を据え置いてきましたが、必要な機材の価格や燃料代、それに人件費などが上昇しコストが膨らんでいるとして先月から料金を引き上げました。
実質、会員でない人の料金が値上げに
値上げは消費税率の引き上げを除くと2009年以来15年ぶりで、実質的には会員でない人の料金が値上げされたかたちです。
具体的には… (※いずれも午前8時から午後8時までの一般道の場合)
「バッテリー上がり」→2万1700円と8500円余り、率にして65%引き上げ
「スペアタイヤへの交換」→1本の場合、2万1700円と1万円余り 率にして93%値上げ
車の機能が高度化し1件あたりの作業時間も長くなる傾向があるため、これまでの料金では採算があわなくなる可能性があるとして、今回、値上げが必要だと判断したといいます。
JAFロードサービス部 足立寿生課長
「車を利用する人の安全と安心の支えとなるサービスの提供を続けたい。それに見合った費用をいただく形になるが、今後、新たなサービスも検討していきたい」
【民営家賃】マンション・アパートの家賃引き上げも
マンションやアパートなどの賃貸物件の家賃について不動産会社の中には契約を更新する際に引き上げを打診するケースも出ています。
東京 渋谷区の不動産管理会社はおよそ2万5000戸のマンションやアパートなどの賃貸の物件を扱っていて、このうち1万4000戸余りでオーナーに代わって物件を管理し、家賃を回収するサブリース事業を行っています。
家賃の引き上げは空室を増やしてしまうリスクがあるため、2007年の創業以来、慎重に対応してきましたが、賃貸需要の高まりなどを受けて現在は利便性や空室率などを踏まえて家賃の引き上げを検討しています。
このうち4月までの1年間に新たに貸し出した物件のうち82%について家賃を引き上げたということで引き上げ率は2%から8%が全体の半数を占めています。
賃貸契約の更新時に引き上げ打診も
また、2022年12月からは2年間の賃貸契約を更新する際に入居者に家賃の引き上げを打診するケースも出ています。
会社によりますと先月までの1年間に2年間の賃貸契約の更新をした物件は4006戸ありましたが、このうち、34%にあたる1397戸について家賃の引き上げを入居者に通知し同意を得られたということです。
契約の更新にあわせて家賃を引き上げた物件はそれまでは家賃を据え置いていたということで引き上げ率は1%から2%程度に抑えているということです。
中野区 1Kの部屋 10万2000円→10万9500円
2020年に建設された東京・中野区の賃貸マンションでは、1Kの部屋の家賃について当初は10万2000円でしたが、2022年10月から10万9500円、率にして7%あまり引き上げられました。
また、2022年10月より前に入居し現在の家賃が10万2000円の場合には2年間の賃貸契約を更新する際に1000円の引き上げを通知することにしています。契約を更新する際には家賃の1.5か月分の更新料と事務手数料として2万2000円も必要になるということです。
会社によりますと、JR中野駅まで徒歩7分という立地の条件に加えて周辺の家賃相場が上昇していることなどを踏まえて家賃の値上げを決めたとしています。
会社では周辺の家賃相場なども参考に今後も家賃の引き上げを検討していきたいとしています。
アンビションDXホールディングス 河崎有紗課長
「家賃を引き上げても入居の申し込みが入る状況が続いている。入居者にとっては負担は増えるという声も出ているが、納得してもらえるよう丁寧に対応している」
借地借家法「入居者に増額を請求できる」
借地借家法では、賃貸住宅の家賃は土地や建物の価格が上昇したときや周辺の家賃相場などを踏まえて管理会社などが入居者に増額を請求できると定められています。
入居者が同意すれば家賃の増額が決まりますが、納得できない場合には値上げの理由を確認するなど管理会社などと交渉することができます。
それでも双方の折り合いがつかない場合には簡易裁判所に調停を申し立てることができます。
業界団体や不動産仲介業者などによりますと、維持管理にかかる費用や人件費が上昇していることなどから、都市部の人気の高いエリアでは家賃が上がっていて、契約の更新時に家賃を引き上げる動きも出ているということです。
専門家「デフレからの完全脱却に現実味」
「みずほリサーチ&テクノロジーズ」河田皓史主席エコノミスト
「賃上げが進む中で、価格転嫁に前向きな動きが少しずつ広がっていると評価することができる。持続的なインフレを実現するためには、『岩盤サービス価格』も含めサービス価格が賃金の上昇と相互に連関するような形で上がることが必要で、まだ道半ばではあるものの回り始めてきている状況だ。デフレからの完全脱却が少しずつ現実味を帯びてきていると感じる」
そのうえで、今後の物価の動向については、政府が電気代と都市ガス代の負担軽減措置を5月の使用分まででいったん終了するほか、円安による輸入価格の上昇などが影響するとしています。
「足もとの円安は、半年から1年くらいのタイムラグを経て食料品や家電などの値上げを通じて徐々に物価に反映され、ことし秋ごろには2%台後半まで高まると予想する。賃上げの成果は夏ごろには出てくるが、物価上昇も高止まり、実質賃金は強くない」
消費者物価指数 上昇率 8か月連続で2%台
総務省によりますと、4月の消費者物価指数は生鮮食品を除いた指数が2020年の平均を100として107.1となり、去年の同じ月より2.2%上昇しました。上昇率は前の月から0.4ポイント下がったものの、去年9月以降、8か月連続で2%台となっています。
「生鮮食品を除く食料」は、去年の同じ月より3.5%の上昇となりました。上昇率は前の月から1.1ポイント縮小し、去年9月以降、8か月連続で伸びが鈍化しています。
値上がりしたものをみると、「果実ジュース」が28.9%、「せんべい」が19.9%、「調理カレー」が15.1%、「コシヒカリを除くうるち米」が9.1%などとなっています。また、「エネルギー」はLNG=液化天然ガスなど資源価格の上昇により去年の同じ月から0.1%上昇し、去年1月以来1年3か月ぶりにプラスに転じました。
総務省は「食料の上昇は緩やかになってきている。一方、サービスの価格は宿泊料を中心に上昇していて、賃上げによる人件費の上昇の影響を注視していく」と話しています。
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