北方領土の元島民らで作る千島歯舞諸島居住者連盟(札幌市)は、昨年度末の元島民が5135人となり、終戦時に北方四島で暮らしていた1万7291人と比べ、初めて3割を下回ったことを明らかにした。平均年齢は88・5歳で高齢化が進んでいる。

 千島連盟によると、人数は会員名簿などから把握しており、22年度末から161人減少した。ただ、名簿の人数は把握している限りであり、「もっと減っている可能性もある」(担当者)という。

 元島民の減少や高齢化によって、返還運動や記憶の継承に対する危機感は高まっている。元島民の2世の女性(66)は「話が聞きたくても簡単には聞けない」と漏らす。残っている元島民は引き揚げを経験したときは幼かったため、記憶があいまいな部分も多くなる。

 3月上旬には、択捉島の2世らで作る「択捉島後継者の会『しるし』」が設立された。2世の男性(62)は「洋上墓参もあるけども、択捉島は遠い。この数年で活動は低迷している」と話す。団体は今後、活動の活性化を目的に勉強会など開催していくという。(古畑航希)

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