目次

  • 自民 6月3日の採決撤回 立民の抗議を受け

  • 自民 新たな案示す パー券購入者の公開 基準額「5万円超」

自民 6月3日の採決撤回 立民の抗議を受け

政治資金規正法の改正に向けて、自民党は、衆議院の特別委員会の理事懇談会で週明けの6月3日に質疑を行ったあと採決を行いたいと提案しましたが、野党側が反対して退席したことから、自民党の石田真敏委員長が週明け3日の採決を職権で決めました。

このあと、自民党の浜田国会対策委員長と立憲民主党の安住国会対策委員長が国会内で会談しました。この中で安住氏は、自民党は修正案を国会に提出しておらず、内容を精査して質疑を行うことができない上、岸田総理大臣の出席も必要だなどと指摘しました。そして、3日に採決することは認められないと強く抗議しました。

これを受け、浜田氏は、石田委員長が決定した採決の日程を撤回する意向を伝え、岸田総理大臣の出席についても持ち帰って検討する考えを示しました。

そして両氏は3日に質疑を行う一方、採決日程は引き続き協議することを確認しました。

自民 新たな案示す パー券購入者の公開 基準額「5万円超」

政治資金規正法の改正に向けた与野党の修正協議で、自民党は、公明党と日本維新の会の主張を踏まえた新たな修正案を示しました。新たな修正案は、岸田総理大臣が公明党の山口代表、日本維新の会の馬場代表とそれぞれ会談したあと、衆議院の特別委員会の理事懇談会で示されました。

それによりますと、パーティー券の購入者を公開する基準額について、現在の「20万円を超える」から「10万円を超える」としていたことを改め「5万円を超える」に引き下げるとしています。引き下げの時期については、引き続き調整を行うとしています。

また、党から支給される「政策活動費」については、法案の付則に
▽1年間ごとの支出の上限金額を定めた上で、領収書などを含む支出の状況を10年後に公開することや
▽支出の監査のあり方を含めて検討し必要な措置を講じることを盛り込むとしています。

このほか、法案の採決にあたっての付帯決議には
▽個人や企業などのパーティー券の購入額の上限や
▽政治資金パーティー以外の事業による収入のあり方
▽親族間での政治資金の移動制限などについて検討することを盛り込むとしています。

公明 今後の対応 山口代表と石井幹事長に一任

公明党は31日午後、すべての議員を対象にした会合を開きました。この中で、山口代表は、岸田総理大臣との党首会談でパーティー券の購入者を公開する基準額について現在の「20万を超える」から党の主張を踏まえ「5万円を超える」に引き下げる方針を伝えられたと説明しました。

そして、自民党の新たな修正案について意見を交わし、出席した議員からは「党の主張が十分に取り入れられたことは評価すべきだ」という意見が出されました。

また、調整が続いているパーティー券の購入者を公開する基準額の引き下げの実施時期については経過措置を設けず法律の施行と同時に行うべきだといった指摘も出ました。

会合では、今後の対応を山口代表と石井幹事長に一任しました。党執行部は党の主張が一定程度反映されたとして賛成する方向で調整を進めることにしています。

岸田首相「改正を必ず実現すべく真摯に対応」

岸田総理大臣は31日午後、経団連の総会であいさつし「自民党は長年の政権運営で政策立案力と実現力を培い、先送りのできない重要課題に着実に取り組み、答えを出してきた。他方で、その政治姿勢におごりはなかったのか、いま一度、真摯に振り返り、襟を正す必要がある」と述べました。

その上で「二度と今回のような事案が起こらないよう厳格な責任体制の確立と政治資金規正法の改正に向けて全力を挙げている。いまの国会での改正を必ず実現すべく真摯に対応していく」と述べました。

林官房長官「岸田首相 規正法の改正に全力」

林官房長官は午後の記者会見で、記者団から「自民党の新たな修正案は岸田総理大臣が打ち出す政治改革に沿ったものか」と問われ「岸田総理大臣は自民党総裁として政治資金問題で2度とこうした事態を招くことがないよう、党のガバナンス改革を進めるとともに今の国会での政治資金規正法の改正に向けて全力を挙げると述べており、そうした方針に基づいて取り組んでいる」と述べました。

《各党反応》

自民 御法川氏「採決応じてもらえない状況でやむをえない」

自民党の御法川国会対策委員長代理は記者団に対し「こういう状況になったので、可能性がゼロとは言わないが、3日の採決は簡単ではない。岸田総理大臣の出席という要求への答えがなければ採決に応じてもらえない状況であり、やむをえない。しっかり与野党で合意した中で進めて採決がどうなるかということに尽きる」と述べました。

自民 大野氏「野党の指摘 真摯に受け止め 最終案として提案」

与党側の筆頭理事を務める自民党の大野敬太郎氏は記者団に対し「自民党で起きた不祥事の再発防止策を中心に自信を持って届けようということで案を作成した。難しい部分もあったが野党からの指摘を真摯(しんし)に受け止めて対応し、最終案として提案した」と述べました。

また記者団から、パーティー券の購入者を公開する基準額について、自民党がこれまでの審議で「10万円を超える」が適当だと答弁してきたこととの整合性を問われ「岸田総理大臣の決断だ」と述べました。

立民 泉代表「10年後の公開 納得せず 賛成できない」

立憲民主党の泉代表は、31日午前、記者会見し「今、使われているお金が適正かどうかを問わねばならないときに、10年前に使った『政策活動費』が一部黒塗りで出てきて、何の価値があるのか。10年後の公開では、納得せず、賛成できない」と述べました。

立民 安住氏「採決前に首相への質疑なければ認められない」

立憲民主党の安住国会対策委員長は記者団に対し「委員長が職権で採決を決めたことを白紙に戻したことは了とするが、改めて議論を冷静にして法案審議の出口に持っていきたい。公明党や日本維新の会と修正の内容で合意したということだが、確認したい点が何点かあるので、もし採決するならば、その前に岸田総理大臣への質疑がなければ認められない」と述べました。

その上で「自民党の新たな修正案は、われわれが求める肝心なところはゼロ回答だったので賛成は難しい。大きく前進したとは見えない。日本維新の会の考えとやり方は、それはそれで尊重したい。それをどう判断するかは国民にしてもらえばいい」と述べました。

立民 笠氏「到底 賛成することはできない」

再開した特別委員会の理事懇談会のあと、野党側の筆頭理事を務める立憲民主党の笠・国会対策委員長代理は記者団に対し「自民党は、本当に何を考えているのか。自民党や与党内の調整のために、ここまで時間がかかっているのに『これが最終回答で、週明けに採決です』というのは到底受け入れられない。国民をなめているのではないか。強く抗議したい」と述べました。

その上で、自民党の新たな修正案について「野党全党で求めていた3項目のうち、2項目はゼロ回答で変わらないので、到底、賛成することはできない」と述べました。

公明 山口代表「岸田首相の英断 重く受け止めたい」

会談のあと山口氏は記者団に対し「岸田総理大臣が、われわれが求めていた英断を示したということで、重く受け止めたい。国会の会期末が迫る中、修正の合意をきちんと仕上げるというギリギリの場面での決断を大事にしたい」と述べました。

これを受けて公明党は31日午後、すべての議員を対象にした会合を開き、対応を協議することになりました。党執行部は党の主張が一定程度反映されたとして、自民党の修正案に賛成する方向で意見集約を図りたい考えです。

維新 馬場代表「自民修正案が提出されれば基本的には賛成」

日本維新の会の馬場代表は記者会見で「きのうになって、自民党側から旧『文書通信交通滞在費』、現在の『調査研究広報滞在費』の使いみちの公開と、政策活動費の改革については、すべて丸のみをするので、特別委員会での協力をお願いしたいという申し出があった。この2点について、わが党の考え方が通ったので岸田総理大臣と合意をした。1歩でも2歩でも、改革を進めていくのが日本維新の会の考え方だ。自民党の修正案が提出されれば、基本的には賛成だ」と述べました。

国民 榛葉幹事長「修正案 詰めが甘く賛成できない」

国民民主党の榛葉幹事長は記者会見で「自民党の修正案を見ると『検討』ばかりとなっている。身を切る改革に一番厳しい日本維新の会が、なぜ合意してしまったのか。修正案は詰めが甘く、このままでは当然、賛成できないし、ほかの野党も賛成するとは思えない」と述べました。

共産 山添政策委員長「現状変わらず通すことは許されない」

共産党の山添政策委員長は記者会見で「修正案の中身は現状が変わらないもので、このまま通すことは許されない。企業・団体献金をなくすことが 本来の改革だったはずだが、簡単に脇に置いてしまうようでは、本気度が問われる。自民党と公明党が『同じ穴のむじな』だと言われているが、日本維新の会も一緒になるのか。本当に必要な制度改正を、さらに時間をとって議論をすべきだ」と述べました。

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