鹿児島県知事選が20日告示され、いずれも無所属で、前自民県議の米丸麻希子氏(49)、市民団体共同代表の樋之口里花氏(52)、現職の塩田康一氏(58)=自民、公明、国民民主推薦=が立候補した。2期目をめざす現職に、女性2人が県政の刷新を訴える構図。人口減少対策のほか、選挙中に運転期間延長が予定される九州電力川内原発への対応などをめぐり、論戦が交わされる見通しだ。

 米丸氏は県議を2期5年で辞職。組織の支援は受けない。この日の第一声では「このままではずっと暗雲は続く。新しい鹿児島県に生まれ変わらせたい」と語った。

 反対の声も根強い県の新総合体育館計画の見直しを争点化しつつ、人口減少対策や子育て支援などを掲げる。川内原発の運転延長には反対しないが、「原発の段階的な停止」を公約に掲げた。安全保障政策への慎重姿勢も打ち出している。

 樋之口氏は、反原発派や共産の「自主的な支援」を受け立候補した。川内原発の運転期間延長に明確に反対し、この日の第一声でも「知れば知るほど原発は恐ろしい。川内原発はさらに20年運転され、使用済み核燃料が増え続ける」と訴えた。自衛隊や米軍の「南西シフト」のもと、県内各地で進む防衛施設整備を批判し、「軍事基地化がすごいスピードで進んでいる」と語った。

 「若い人が地域で生活し暮らすため『稼ぐ力』の向上が必要」。塩田氏は第一声で、1期目の実績を示しつつ、人口減少対策を強調。川内原発の運転延長には、安全性に配慮しつつ「決断すべきは決断し、向き合ってきた」と語った。

 前回は対立候補を推した自民は今回、塩田氏を全面的に支える。国民や連合鹿児島も相乗りする構図で、「自民への逆風の影響は限定的」(陣営関係者)との見方だ。

 一方、新顔2人の追い風になると目されるのが、女性有権者の動向だ。春の鹿児島市議選(定数45)では、過去最多の女性15人が立ち、12人が当選。得票トップも女性だった。昨年の県議選(定数51)も、改選前より女性議員が倍増。比率は21.6%に上がり、全都道府県議会で5番目(昨年4月時点)に改善している。(加治隼人)

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