政府は、21日夕方の持ち回り閣議で、ことしの経済財政運営の基本方針「骨太の方針」を決定しました。

この中では、日本経済は「デフレから完全に脱却する千載一遇のチャンスを迎えている」とした上で、33年ぶりの高い水準となっている賃上げの動きを定着させ、成長型の新たなステージに移行させていくとしています。

その上で、持続的な賃上げ実現への具体策として、業務を省力化し、生産性を高めようとする企業への支援を進めるのに加え、男女間の賃金格差の解消に向けた環境整備や価格転嫁対策などに取り組むとしています。

また、労働市場改革を推進し、成長分野への人材の移動を促すため、仕事の質や成果を重視する「ジョブ型」の人事の指針をこの夏に公表して企業に導入を促すとともに、リスキリング=学び直しへのさらなる支援を行う方針です。

そして、人口減少が進む中、社会保障システムの確立が不可欠だとして、医療のデジタル化に取り組み、能力に応じて全世代が支え合う「全世代型社会保障」の構築を目指すことが明記されています。

さらに、脱炭素やデジタルなどの分野で長期的な視点に立った戦略的な投資を速やかに実行するほか、一般のドライバーが有料で人を運ぶライドシェアは安全を前提に「全国で広く利用可能にする」としています。

このほか、教員の抜本的な処遇改善に向けた法整備を進めることや、刑務所や少年院を出た人の立ち直りを後押しする保護司への支援を充実させることなども盛り込んでいます。

一方、財政面では「来年度の基礎的財政収支の黒字化を目指す」という今の財政健全化の目標は維持した上で、来年度から6年間の新たな経済・財政に関する計画の実行を通じて経済再生と財政健全化の両立を前進させるとしています。

このほか、持ち回り閣議では、映画やアニメといったコンテンツ産業の強化などを盛り込んだ「新しい資本主義」の実行計画も改訂されました。

岸田首相「未来に希望持てる経済社会を」

岸田総理大臣は、決定に先立って開かれた政府の合同会議で「デフレから完全脱却し、日本経済を新たなステージへと移行させるためのビジョンと戦略を示すとともに、少子高齢化や人口減少を克服し、国民が豊かさと幸せを実感できる持続可能な経済社会を実現すべく道筋を示した」と述べました。

その上で「方針は今後、予算編成や制度改正で具体化し速やかに実行していく。政策を前に進めることで多くの世代、次の世代が未来に希望を持てる経済社会を実現する」と述べました。

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