政府は26日、経済安全保障に関する重要情報の取り扱いを国が認めた人に限る「セキュリティークリアランス(適性評価)制度」の運用基準を話し合う有識者会議の初会合を首相官邸で開いた。岸田文雄首相は会合の冒頭、年内をめどに基準案をまとめるよう指示した。

 首相は会合の冒頭、機密情報の保全対象を、特定秘密保護法が定める外交や防衛など4分野から経済分野にも拡大する法律が5月に成立したことに触れ、「情報保全の強化のみならず、民間事業者の国際的なビジネスの機会の確保、拡充のため非常に重要な法律だ」と述べた。

 新たな制度では、犯罪歴や飲酒の節度、借金の有無などの身辺調査について民間人の対象が増える見通し。調査を受けるかは本人の同意が前提だが、法律には調査拒否や不合格による人事上の不利益を禁止する明確な規定がない。どんな情報が保全対象となるかも具体的には示されておらず、こうした点について政府は運用基準で詳細を定めるとしている。

 高市早苗経済安保相は会合で、企業の従業員らが人事で不利益を受けない対策について「適性評価結果などの目的外利用の禁止が担保されるための方策を、具体的に定めていく」と語った。(笹山大志)

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