経済安全保障上の機密情報を扱う民間人らを身辺調査する「セキュリティー・クリアランス(適性評価)」制度の導入を柱とした重要経済安保情報保護法の成立を受け、政府は26日、制度の詳細を決める有識者会議(座長・渡部俊也東大副学長)の初会合を官邸で開いた。機密情報の指定の範囲などを定めた運用基準を年内に閣議決定する。(近藤統義)

有識者会議であいさつする岸田首相。後方は高市経済安保相=首相官邸で(佐藤哲紀撮影)

 岸田文雄首相は初会合にあたり、先の通常国会で成立した同法について「情報保全の強化のみならず、民間事業者の国際的なビジネス機会のために重要な法律だ」と強調した。運用基準では、指定情報の解除の方法や身辺調査の質問内容、評価結果や個人情報の目的外利用の防止策なども具体化させる。

◆「センシティブな個人情報は保護を」意見も

 有識者会議のメンバーは座長を含め5人。初会合では「同盟国などに通用する実効的な制度にすることが重要だ」「センシティブな個人情報は保護すべきだ」などの意見が出た。  主要部分が来年5月までに施行される同法は、漏えいすると安全保障に支障を与える恐れがある政府保有の情報を「重要経済安保情報」に指定。犯罪歴や家族の国籍など7項目の身辺調査を受け、適性評価で認定された公務員や民間事業者が指定情報を取り扱えるようにする。漏えいには5年以下の拘禁刑などを科す。

有識者会議に臨む岸田首相(左から3人目)=首相官邸で(佐藤哲紀撮影)

 国会審議では、政府による恣意(しい)的な情報指定や身辺調査によるプライバシー侵害の懸念が指摘されたが、政府側は運用基準で詳細を決めるとして、議論が深まらないまま成立した。   有識者会議のメンバーは次の通り。  渡部俊也(東大副学長)▽神橋一彦(立教大教授)▽冨田珠代(連合中央執行委員)▽原一郎(経団連常務理事)▽吉田直人(日経BP会長) 

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