沖縄県で相次ぐ米兵による性暴行事件をめぐり、県議会は10日、米軍などへの抗議決議と日本政府への意見書を全会一致で可決した。「満身の怒りをもって抗議する」と非難している。県内の反発は広がっており、9日現在、少なくとも14市町村の議会でも同様の抗議決議や意見書を可決している。
抗議決議は、駐日米大使や在日米軍司令官らに対するもの。事件を「被害者への肉体的、精神的な苦痛を与えることのみならず、人間としての尊厳をじゅうりんする極めて悪質な犯罪」と断じた。
また、今回明らかになった昨年以降の5件の性暴行事件だけでなく、2021年10月に発生した成人女性への性暴行事件に対して同様の抗議を決議したばかりだとし、「米軍の管理体制や隊員に対する人権教育の取り組み姿勢だけでなく、組織の人権意識に問題があると言わざるを得ない」と指摘した。
日本政府に対する意見書では、県民が米兵による事件・事故など過重な米軍基地負担に苦しんできたことに触れ、起訴前の容疑者の身柄引き渡しを米側が拒否できることなどを定めた日米地位協定の改定などを求めた。
沖縄では昨年以降、米軍嘉手納基地所属の空軍兵や在沖海兵隊員らによる性暴行事件が5件起きていたことが6月に発覚した。外務省や県警、那覇地検が被害者のプライバシー保護などを理由に情報を県に伝えていなかったことが問題となり、政府や県警は県との情報共有について改善することを決めた。
16歳未満の少女への不同意性交などの罪で起訴された空軍兵の初公判は、12日に那覇地裁で予定されている。(小野太郎、棚橋咲月)
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