約15年にわたって公明党の「顔」を務める山口那津男代表(72)の去就に関し、任期満了を迎える今秋で退任するのではないかとの見方がにわかに浮上した。次期衆院選などを見据え、執行部の「刷新」を打ち出す狙いが背景にある。ただ、安定感を優先すべきだとの意見も根強く、党内外の情勢を慎重に見極めるものとみられる。

山口氏は現在8期目。任期は9月に予定される党大会までだ。

去就に注目が集まる中、山口氏は6月の段階で、今秋以降に取り沙汰される衆院解散・総選挙を念頭に、「党大会の時期をずらす」ことも考慮すると発言。自ら陣頭指揮を執るために「当面続投する考えを示唆した」(党関係者)との受け止めが広がった。

ところが、7月に入ると「(党大会は)基本的に9月で計画したい」と軌道修正。党内に準備委員会も設置された。党幹部は「11月への延期説などもあったが、今は9月下旬の週末に開催する方向だ」と明かす。

党大会の準備が進む状況に、党内では「山口氏が退き、後任に石井啓一幹事長が就く」との観測が出ている。山口氏自身、最近では異例の長期在職を意識し、節目で常に代表交代を模索。党関係者は「刷新を求める流れを読み誤ってはいけない」と指摘する。

もっとも、公明は2022年の党大会でも石井氏への代表交代を探ったが、翌年に統一地方選を控えて支持母体の創価学会などで懸念の声が上がり、最終的に見送った経緯がある。党ベテランは「山口氏が来年の参院選まで続投するのが自然だ」と述べるなど、代表交代には党内で異論も相次ぐ。

山口氏は学会側の意向や、9月に想定される自民党総裁選の動向も踏まえ、去就を最終判断する見通しだ。

記者会見する公明党の山口那津男代表=2日、国会内

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