【ビエンチャン=馬場加奈、甲原潤之介】上川陽子外相は26日、東南アジア諸国連合(ASEAN)関連の外相会議出席のため訪問中のラオスで韓国の趙兌烈(チョ・テヨル)外相と会談した。新潟県の「佐渡島(さど)の金山」の世界文化遺産への登録の合意に向けても協議する。
佐渡金山を巡って韓国側が第2次世界大戦中の朝鮮半島出身者の強制労働の現場だったと主張し、歴史を反映するよう日本政府に求めてきた。韓国と内容面で合意した上で、27日にも開く審査を経て登録を目指す。
日韓の懸案は関係改善を推し進める韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領と岸田文雄首相のもとで「軟着陸」してきた。亀裂を深めた歴代政権では解決策を見いだすことは困難だった。
東京電力福島第1原子力発電所の処理水の海洋放出では、韓国政府は独自の検証によって「国際基準に合致する」と判断し、放出を認めた。尹氏も国際原子力機関(IAEA)の報告書を「信頼している」との見解を示し、放出に反対する中国に同調しない姿勢を見せた。
日本の総務省が情報漏洩を起こしたLINEヤフーに資本関係見直しの検討を求めた際も、批判を強める野党やメディアと異なり、尹政権は冷静に対応した。
韓国は4月の総選挙で保守系の与党が大敗し、革新系の野党が国会で過半数を握る。世論の反日感情は残っており、韓国政治の動向次第でこれまでの合意を覆されかねないリスクはある。
日本との友好関係を重視する尹政権後も歴史・領土問題などに左右されにくい関係構築を双方が模索する。
外相会談では2025年の日韓国交正常化60周年を控え、関係の維持・強化に向けた協力も申し合わせる。韓国側には日韓関係の強化を約束する新たな共同宣言を策定する案などがある。
【関連記事】
- ・韓国、佐渡金山の世界遺産登録に同意
- ・佐渡金山、世界遺産登録へ一部地区除外を容認 政府
- ・韓国「佐渡金山賛否は日本次第」 徴用の史実反映求める
- ・世界遺産めざす佐渡金山、勧告された「情報照会」とは?
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。