重要インフラなどへのサイバー攻撃を未然に防ぐ「能動的サイバー防御(ACD)」導入に向け、政府は6日、第3回の有識者会議を首相官邸で開いた。これまでの議論を整理し、ACD運用にあたっては憲法が定める「通信の秘密」が制限される場合があることや、運用状況を監督する「独立機関」の必要性などについての認識を共有した。

 政府は、6月以降の分科会を含む同会議の議論を整理した資料を示した。資料には、ACDを運用するなかでメールの中身を逐一全て見るようなことは適当とは言えない▽憲法21条で規定する「通信の秘密の保護」は公共の福祉のために必要かつ合理的な制限を受けることが認められている▽運用を監督する独立機関が必要――などと明記した。

 政府は有識者会議の議論を土台に、今秋召集される見通しの臨時国会への関連法案の提出を目指しており、作業を加速させたい考えだ。ただ、憲法との整合性や取得した情報の取り扱いなど課題は山積している。国会での与野党による審議が紛糾する可能性もある。(千葉卓朗、鬼原民幸)

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。