自民党は23日、政治資金規正法改正に向けた作業部会を開き、党の独自案を取りまとめた。政治資金収支報告書の作成に関する政治家の監督責任を明確化し、不十分だった場合に罰則を科す内容が柱。派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた「再発防止策」と位置付ける項目に絞ったことで、公明党や野党が求める多くの課題は先送りされた。党内からも疑問の声が相次ぎ、野党は「最低限のことしか入っていない」と批判している。

◆議員の「確認書」提出を義務付ける

 自民案では、会計責任者が収支報告書を提出する際、適正に作成したと議員が確認したことを示す「確認書」の提出を義務付ける。不記載などで会計責任者が処罰された場合、議員が本来行うべき確認を怠っていれば罰則を科して公民権停止にするとしている。  現行法では議員の責任の範囲が明確でなく「秘書がやった」などと言い逃れすることが問題視されていた。作業部会の鈴木馨祐座長は「厳密には『連座制』ではないが、『いわゆる連座』には近い」と述べた。  不記載があれば、相当額を国に納付させて抑止力を高めることや外部監査の強化、政治資金収支報告書のオンライン化による透明性の向上も盛り込んだ。

◆政策活動費の使途公開は「各党と真摯に協議」

 一方で、公明や野党が求める「政策活動費の使途公開」や「パーティー券購入者の公開基準の引き下げ」などは「各党各会派との真摯(しんし)な協議を行っていく」と記載するにとどめ、具体的な検討を見送った。  部会に参加した柴山昌彦元文部科学相は、政策活動費について「もう少し議論を進めるべきようにも感じている」と記者団に語った。途中退席した議員の一人は「議論の先送りはどうかと思うが、既に改正案の大枠は決まっていて意見を言っても意味がない」と不満を示した。  自民案について、日本維新の会の音喜多駿政調会長は記者団に「企業・団体献金や政策活動費廃止に率先して結論を出そうとする気配が全く見られない」と指摘。立憲民主党の泉健太代表は党会合で「国民にとってゼロ回答だ」と述べた。  自民は今後、公明と協議して与党案を取りまとめる。26日に初開催される衆院政治改革特別委員会では、各党が法改正に向けた考え方を示す。 (井上峻輔) 

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