自民党総裁選への立候補を表明する林芳正官房長官=9月3日午後、国会内で(佐藤哲紀撮影)

自民党の林芳正官房長官(63)=衆院山口3区、1期、参院5期=は3日、国会内で記者会見し、党総裁選(9月12日告示、27日投開票)への立候補を表明した。総裁選に正式に出馬表明したのは、小林前経済安全保障担当相(49)、石破茂元幹事長(67)、河野太郎デジタル相(61)に続いて4人目。林氏の立候補は2012年以来、2回目となる。 林氏は派閥裏金事件に関し「党の信頼改革に努め、国民の共感を得られる政治を取り戻していきたい」と述べ、党の支出の精査、政党交付金の配分見直しなどにより政治資金パーティー収入への依存度を減らすと説明。米国をモデルに、政治資金を監督する第三者機関の創設を検討する考えも示した。

◆「総裁任期中に改憲の国会発議を行いたい」

林氏は裏金事件を受けた党の処分について、新事実が明らかになった場合には「もう一度、手続きにのっとって結果を出すことが必要だ」と話し、処分を見直す可能性を示唆した。 改憲については、自衛隊の明記や緊急事態条項など自民党の改憲4項目を挙げ、3年間の党総裁任期中に「国会発議を行いたい」と意欲を示した。 林氏は、3日に政治団体の解散届を総務相宛てに提出した岸田派(宏池会)で、ナンバー2の座長を務めていた。旧岸田派からは上川陽子外相(71)も出馬を模索しており、派内の支持が分かれる可能性もある。

◆ピンチヒッターとして繰り返し入閣

林氏は実務能力に定評があり、不祥事などで辞任した閣僚の「ピンチヒッター」を複数回にわたって務めてきた。現在の官房長官のポストも、自民党派閥の裏金事件で辞任した松野博一氏の後任として登板したものだ。 参院から衆院への鞍替えを長年模索してきたが、父の林義郎元蔵相が中選挙区時代の衆院旧山口1区で安倍晋三元首相の父の安倍晋太郎元外相とライバル関係だった経緯もあり、安倍政権時代には実現しなかった。安倍氏の退陣後、岸田政権下で行われた2021年の衆院選で現在の山口3区に立候補し、国会議員26年目にして衆院に移った。 ピアノやギターの演奏が得意で、浜田靖一党国対委員長らと組んでいる議員バンド「Gi!nz(ギインズ)」でピアノ、ギター、ボーカルを担当。2024年3月に東京都内で開かれた東日本大震災関連のチャリティーコンサートでは、ビートルズの代表曲「Let It Be(レット・イット・ビー)」をピアノの弾き語りで披露した。(宮尾幹成)


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