高齢化に伴って医療費の膨張が課題になっている

政府は高齢化対策の中長期指針となる「高齢社会対策大綱」に、75歳以上の後期高齢者について医療費の窓口負担の拡大に向けた検討を行う方針を盛り込む。3割負担となる人の対象範囲の拡大を議論する。

高齢化に伴い医療費の膨張が課題になっているのに対応する。高齢社会対策大綱の改定は2018年の決定以来、6年ぶりになる。一般からの意見公募などを経て閣議決定する。

医療費で3割を自己負担する「現役並み」の所得がある高齢者の対象拡大は、政府が23年12月に示した社会保障改革の計画「改革工程」に盛り込んでいた。28年度までの検討項目として「現役並み」の所得の判断基準の見直しを議論する。

現状では75歳以上の窓口負担は原則1割で、一定の所得があれば2割、「現役並み」の所得があれば3割としている。

内閣府は高齢社会対策大綱の策定に向けて8月に報告書をまとめた。一定以上の所得がある働く高齢者の厚生年金の受給額を減らす「在職老齢年金制度」について「就労促進の観点から見直しの検討が必要だ」と提言した。

在職老齢年金についても大綱に盛り込む方針だ。具体的な制度設計や実施の可否は厚生労働省などが検討する。改定案には個人型確定拠出年金(iDeCo、イデコ)の加入可能年齢の引き上げなども盛り込む。

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