23日投開票の立憲民主党代表選では、物価高対策としての消費税の扱いが争点に浮上している。消費税減税で物価高に対応するのがよいか、消費税率は変えずに「給付付き税額控除」という別の方策をとるか、立候補した4氏の相違点が浮き彫りとなっている。

◆消費税減税に否定的なのは…

 野田佳彦元首相(67)と枝野幸男前代表(60)は8日に福岡市で開かれた討論会で、消費税減税に否定的な見解を示した。  旧民主党政権で5%から10%への消費税増税を決断した野田氏は「消費税を基幹税と位置付けることで、日本社会は成り立っている」と必要性に言及。消費税が社会保障の財源になっているとして「安易に減税はできない」と言い切った。  前回2021年の衆院選で党代表として消費税率の5%への時限的引き下げを掲げた枝野氏も、財政の健全性を重視する考えを示した上で、「この物価高では焼け石に水だ」と消費税減税を封印した。

◆「給付や控除を実施する方が効果的」

 両氏とも消費税減税に否定的ではあるものの、所得が少ない世帯ほど負担が重くなる消費税の逆進性を緩和する必要性は認識。中・低所得者を対象に給付や控除を実施する給付付き税額控除の方が物価高対策としては効果的だとする。  現職の泉健太代表(50)も給付付き税額控除を支持する。ただ、消費税については、食料品に限って減税する考えを7日の討論会で説明。食料品の減税は「低所得者向けに効果がある」と述べた。

立憲民主党代表選に立候補した(左から)野田元首相、枝野前代表、泉代表、吉田衆院議員

◆「低所得の家庭には重い」吉田氏は消費減税

 4候補の中で最も減税を重視するのが、吉田晴美衆院議員(52)。食料品の非課税に加え、3年間に限った消費税率5%への引き下げを打ち出した。「低所得の家庭には重い税となっている。可処分所得を増やすために消費税減税を議論すべきだ」と訴えた。  立民が次期衆院選で連携を模索する野党各党は消費税減税などを訴えており、代表選での議論は今後の野党協力にも影響を及ぼす可能性がある。(中沢穣) 

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