石破茂首相は2日夕、日銀の植田和男総裁と首相官邸で会談した。首相は会談後、記者団の取材に応じ、日銀の追加利上げについて「個人的には現在そのような環境にあるとは思っていない」との認識を示した。
石破氏が首相就任後、植田氏と会談するのは初めて。植田氏は会談後、利上げ判断に関して「見極めるための時間は十分にあり、丁寧に見ていきたいと申し上げた」と記者団に説明。首相に対し、追加利上げを急がずに経済・物価動向を慎重に見極める方針を伝えたという。植田氏は「政府と日銀は緊密に連携していくという認識で一致した」と述べた。
植田氏によると、会談では首相に「金融政策は極めて緩和的な状態で、わが国経済をしっかりと支えていく状態にある」と説明。「経済・物価が見通し通りに動いていけば、金融緩和の度合いを調整していく」とも伝えたという。2%の物価目標実現を明記した政府・日銀による2013年の共同声明の取り扱いについては「(会談で)話にはならなかった」と語った。
植田氏は「友好的な雰囲気で有意義な意見交換ができた。首相から金融政策について具体的にこうしてほしいという話もなかった」と述べた。
首相が自らの就任翌日に日銀総裁と直接会談するのは、歴代では異例の早いタイミング。石破氏の経済政策への警戒感から株価が急落する「石破ショック」を招いたため、政府・日銀の緊密な連携姿勢を示し、市場の安定を図る狙いがあったものとみられる。
記者団の取材に応じる石破茂首相=2日午後、首相官邸
石破茂首相との会談後、記者団の取材に応じる日銀の植田和男総裁(中央)=2日午後、首相官邸
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