木原稔防衛相は26日の記者会見で、2024年度の防衛費と防衛力強化関連経費の合計額が約8兆9000億円に上り、国家安全保障戦略が策定された22年度の国内総生産(GDP)比で約1.6%になったと明らかにした。同戦略では、27年度に欧米主要国並みの2%に増やす方針。防衛増税の実施時期を先送りして財源のめどが立たない中、規模ありきで防衛関連費の膨張が続く。

◆1兆円、他省庁分も補完

 政府は従来、防衛省の予算だけを防衛費としていたが、防衛力の抜本強化を掲げた22年度の国家安保戦略で国際比較できる指標をつくるため、海上保安庁や公共インフラ整備費などを含める新たな防衛予算の定義を設けた。加盟国に2%以上を求める米欧の軍事同盟・北大西洋条約機構(NATO)の計算方法を参考にした。  24年度は、防衛費が計約7兆9000億円。これに加え、
(1)研究開発費約1805億円
(2)公共インフラ整備約370億円
(3)サイバー安全保障約125億円
(4)同志国の軍に直接支援する「政府安全保障能力強化支援(OSA)」約50億円
など他省庁分の補完経費が約1兆円に上る。

◆「GDPの1%を上限」閣議決定どこへ

 総額43兆円とする5カ年の防衛力整備計画の初年度に当たる23年度のGDP比は約1.4%だった。  木原氏は26日、「防衛力の抜本的強化の着実な実現に向けて関係省庁と連携して取り組む」と述べた。日本の防衛費をめぐっては、1976年の三木武夫内閣がGDPの1%を上限とする方針を閣議決定。歴代政権は1%を目安に予算編成してきた。(川田篤志) 

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