28日に投開票された衆院東京15区(江東区)の補選は、過去最多の9人が立候補した一方、過去2回の衆院選で勝利してきた自民の候補が不在(前回は選挙後に追加公認)という、かつてない構図で争われた。朝日新聞の出口調査からは、自民支持層が複数候補に割れた様子が浮かんだ。一方、投票率は、過去最低だった2017年の55・59%を大きく下回る40・70%という結果だった。

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 当選した立憲民主党の酒井菜摘氏は28日夜、「やっぱり自民党がこれだけ問題を起こして、(有権者の)本当にいい加減にしてほしいという思いを感じた」と話し、裏金事件や江東区長選をめぐる選挙違反事件を起こした自民への批判が集まったと分析した。朝日新聞の出口調査によると、立憲支持層だけでなく、年代も含めて幅広い層から支持を集めていた。

 長崎3区と島根1区の補選も立憲が勝利。酒井氏は「政権交代を望む世論が高まっている」という見方を示し、「いつ選挙になるか分からないというのが衆議院の仕組み」と解散総選挙を見据えて気を引き締めていた。

 次点は、任期途中だった参院議員からの転身をめざした須藤元気氏。元立憲所属だが、今回は、どの党からも支援を受けない「完全無所属」を強調。そして「地元・江東区出身」を前面に、電飾で飾った自転車で走り回って、消費減税やインボイス制度の廃止などを訴えた。

 元格闘家らしく「自分の出せる技を出し尽くした結果」と表現。「今回の経験をうまく活用すれば政治家としてもっと大きくなれる」とも話し、今後の政治活動の可能性にも触れた。

 日本維新の会の金沢結衣氏は、初めての挑戦だった2021年の前回衆院選と同じ3番目の得票だった。今回の候補者の中で連続立候補は唯一で、前回の落選以降、地元活動を続けてきただけに「以前と比べて手応えはあった。握手の数も前回より非常に多かった」。しかし、望んだ結果には及ばず、「自分の活動が届かなかったところが力不足を感じる」と話した。

 選挙戦では、候補不在の自民支持層も意識して活動したが、実らず。「今後も地元で継続して活動する」と話した。

 国政選挙に初めて挑んだ政治団体「日本保守党」の飯山陽氏は28日夜、団体の百田尚樹代表らと事務所で取材に応じ、「思ったより多くの支持をいただき、多くの票を入れていただいた。この結果は私の力が及ばなかった」と話した。

 立憲の候補に敗れたことについて記者に問われると、「私たちには組織がない。立憲の候補にはそれだけの組織があった。共産党が応援した。組織が彼女を支えた」との見方を示した。

 小池百合子都知事から支援を受けて戦った無所属の乙武洋匡氏は、落選が確実になると、「結果が全て。受け止めるしかない」と語った。

 9人という多数の争いになった点について「(有権者が)より自身の考えに近い候補を選べる。僕にとっては非常にいいことだったと受け止めている」と話した。次の選挙について問われると、「疲れ果てたので、ちょっと1回考えさせてほしい」と述べた。

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