自民党は21日、新設の党政調「治安・テロ・サイバー犯罪対策調査会」の初会合を開く。自民党の高市早苗前経済安全保障相が調査会長に就く。SNSを通じた闇バイト強盗やサイバー犯罪の対策を政府に提言する。
調査会は主に①闇バイト②インターネット上での世論工作「サイバープロパガンダ」③偽情報による詐欺④化学・生物・放射性物質・核・爆発物に関わる災害――への対策を議題にする。
小野寺五典政調会長が高市氏に会長就任を打診した。既存の「治安・テロ対策調査会」を組織再編した。同郷奈良選出で総務省出身の佐藤啓参院議員を会議を取り仕切る事務局長に指名した。国家公安委員長の経験者を顧問にする。
優先して取り組むのは闇バイト対策だ。自民党は10月の衆院選で、首都圏でSNSを使って集散する「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」による強盗事件に言及した。「国民にとって治安上の大きな脅威となっている」と指摘し、戦略的な実態解明・取り締まりを強化すると掲げた。
石破茂首相は11月11日の記者会見で、防犯カメラや防犯性能の高いドアの整備など防犯対策に取り組むと訴えた。政府は月内にまとめる経済対策にも闇バイト対策などを反映する。
調査会はさらなる対策を検討し政府に働きかける方針だ。犯行に使われる「シグナル」のような秘匿性の高い通信アプリなどへの対応も検討課題に挙がる見込みだ。
技術が進展した生成AI(人工知能)を悪用したディープフェイクは、詐欺にとどまらず選挙結果にも影響する懸念が出ている。高市氏は党のサイバーセキュリティ対策本部長や科学技術相としての経験も対策立案に生かす。
9月の党総裁選で敗れて石破政権での要職打診を固辞した非主流派の高市氏にとっては久々の表舞台での発信機会でもある。ここ最近は自らを支える議員らと意見交換を重ねていた。
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