政治改革を巡る与野党協議の初会合に臨む7党の代表者(26日、国会内)

政治改革を巡る与野党7党の代表者は26日、初めての協議に臨んだ。立憲民主党や日本維新の会などは企業・団体献金の禁止を自民党に迫った。使途の公開義務がない政策活動費の廃止ではおおむね一致するが、詰めを残した。年内の政治資金規正法の再改正は綱渡りだ。

国民民主党、公明党、れいわ新選組、共産党を含む7党の代表者が国会内で会った。自民党の渡海紀三朗氏は「スケジュール感を大事にしながらやる」と語り、年内の規正法再改正に意欲をみせた。野党からも年内の再改正に賛同する意見が相次いだ。

立民の主張に配慮して会合を全面公開とした。1時間15分ほどの協議で各党が一方的に主張を表明する場面が目立ち、意見集約の機運は乏しかった。

自民党は再改正の中身を擦り合わせて28日召集の臨時国会で法案を通す段取りを描く。党派閥の政治資金問題が長引くほど2025年夏の都議選や参院選でマイナスに働くと懸念する。一部の野党は自民党の改革案が不十分と判断すれば年明けの通常国会でも追及を続ける構えだ。

最も隔たりが大きいのが企業・団体献金の扱いだ。立民の大串博志氏は「大きな論点」として企業献金の禁止を挙げた。維新や共産党、れいわも禁止を唱えた。

大串氏は会合後、政治改革を巡る野党の幹部会合を呼びかけていると明らかにした。27日に開催し、企業献金の廃止で足並みをそろえて自民党に譲歩を迫る戦略をとる。

自民党は禁止に慎重な立場を堅持する。「企業献金が悪で、個人献金が善だという前提に立たない」との主張を繰り返す。企業献金を廃止し、国が支給する政党交付金に頼る度合いが高まるほど政党の独立性が失われると懸念する。

立場の違いの理由は収入構造の違いがある。総務省によると自民党本部への企業・団体献金は2022年に25億円ほどと全体の1割にのぼった。立民や維新は1%に満たない。

野党も一枚岩ではない。国民民主の古川元久氏は企業献金を禁じる立民の法案を念頭に業界団体などがつくる政治団体を対象としていないと苦言を呈した。立民の法案は両党を支援する労働組合からの献金を受け取る余地を残しているとの見方がある。

政策活動費を巡り、渡海氏は廃止すると説明した。10月の衆院選公約は「廃止も念頭」におくと曖昧な姿勢にとどめていたが、大敗を受けて踏み込んだ。

一方で外交機密や企業秘密に配慮する必要がある性質の資金について、なんらかの形で残し新設の第三者機関が監査すると唱えた。

維新の藤田文武幹事長は「シンプルに見えないお金は廃止するのが最適だ」と発言し、自民党案に反対した。使途を一般公開しない余地を残せば「裏金」につながるリスクがあると懸念する。

自民党は企業献金の禁止を除き、与野党で一致できる項目での規正法の再改正を目指す。国民民主との協力を探る。古川氏も会合後、年内の再改正を優先して合意できる項目に絞る案に触れた。企業献金の禁止を明確に主張していない。

自公国で規正法に合意できれば衆院で可決できる。3党は物価高対策などを柱とする経済対策で合意し、24年度補正予算案の成立にめどをつけた。

年内の規正法再改正は日程が窮屈だ。改正案を審議する衆院政治改革特別委員会は立民の渡辺周氏が委員長を担う。自民党が期待するスケジュールで運ぶ可能性は低い。

渡海氏は24年度補正予算案を審議する予算委員会と並行し、政治改革特別委を開く案に言及した。予算委の後に別の日程で特別委を開くとの想定が目立つものの、同時並行論は自民党の焦りを映す。

立民などが年内の再改正と引き換えに自民党へ企業献金禁止の受け入れを迫る可能性もある。自民党内に石破茂首相が禁止を受け入れると懸念する声が出る。

25年度予算案の成立は依然として見通しにくい。成立に向けて野党から幅広く賛成を得るには、国民民主以外の党の主張も受け入れざるを得ないシナリオも浮かぶ。

政治改革のもうひとつの柱である調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)については、別途衆参で協議の枠組みがある。使途公開の方向性では与野党が一致しているが、公開の範囲などについては温度差がある。

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