【ローリー(米ノースカロライナ州)=鈴木龍司】訪米中の岸田文雄首相は12日、南部ノースカロライナ州でトヨタ自動車が建設中の車載用電池工場を視察した。電気自動車(EV)の普及を推進するバイデン政権に対し、日本企業の協力をアピール。大統領選で保護主義を掲げる共和党のトランプ前大統領が返り咲く可能性を踏まえ、投資と雇用への貢献を強調する狙いもあるとみられる。

◆日系企業の活発な投資による支援を強調

岸田文雄首相(資料写真)

 2025年に稼働するトヨタの電池工場は5000人超を雇用する計画で、累積投資額は計139億ドル(約2兆1000億円)に上る。脱炭素化に力を注ぐバイデン大統領はEV普及に向け、車両購入時の補助金など積極的な政策を打ち出してきた。充電網の整備の遅れなどEVの普及に懐疑的な声がくすぶり続ける中、岸田首相は日系企業の活発な投資による支援を強調した。  今回の訪米は米国経済への貢献を示すことが狙いの一つで、岸田首相は同州でホンダ子会社が操業する小型ジェット工場も訪問。  一方、視察先の選定を巡っては「大統領選前に民主、共和のどちらかのカラーが強い州は訪問しにくい」(政府関係者)との声もあった。ノースカロライナ州は大統領選の激戦州の一つで、4年前の前回はトランプ氏が僅差でバイデン氏に勝利した。本選が11月に迫る中、米国第一主義のトランプ氏にも配慮し、米国経済への貢献を示したい考えとみられる。 

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。