作家の乙武洋匡氏は8日、都内で記者会見し、28日投開票の衆院東京15区補欠選挙に無所属で出馬する意向を示した。擁立を見送る自民党は同氏の支援を調整する。共産党は8日、独自候補を立てるのをやめ、立憲民主党の予定候補の支援を打ち出すなど各党の思惑が交錯する。
乙武氏は3月28日付で地域政党「都民ファーストの会」を母体とする「ファーストの会」の副代表に就任した。「現時点ではどの政党にも推薦依頼は出していない。政策を見て推薦したいとの思いを持ってもらえるなら話をしたい」と強調した。
同補選は江東区長選を巡る公職選挙法違反の罪で起訴された柿沢未途前法務副大臣(自民党を離党)の議員辞職に伴う。自民党は派閥の政治資金問題のあおりで、東京15区を含む衆院3補選で逆風が吹くことが予想される。
自民党は乙武氏の推薦に向けて手続きを進める。独自候補の擁立を断念する一方、推薦で同区での敗北を避けたい狙いがある。
連立を組む公明党は支援に後ろ向きだ。高木陽介政調会長は3日の記者会見で、乙武氏が過去に報道された女性問題を挙げ「地元の声は大変厳しい状況だ」と述べた。
2022年参院選でファーストの会と候補者を相互推薦した国民民主党は乙武氏の支援を検討するものの、自民党との「相乗り」に慎重論が根強い。榛葉賀津也幹事長は5日「自民党が応援して推薦するなら推薦はない。全国に影響を与える」と語った。
立民は4日に新人の公認を決定した。共産党以外にも協力を広げたい構えだ。日本維新の会や参政党の予定候補のほかに、諸派や無所属の元職・新人も立候補する見込みで混戦模様になっている。
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