岸田政権は、20日に台湾総統に就任する民主進歩党(民進党)の頼清徳氏と、日台の協調関係維持を狙う。頼氏を独立派と見なして敵視する中国とも、台湾海峡の緊張緩和に向けて政治レベルの対話を進めたい考え。中国を過度に刺激しないよう意識しながら、経済分野を中心に、台湾との非政府間の実務協力を深める方針だ。

 上川陽子外相は17日の記者会見で「台湾は極めて重要なパートナーで、大切な友人だ。協力と交流の深化を図る」と述べた。

 2016年から続いた民進党の蔡英文政権の間に、日台関係は「大きく発展した」(外務省幹部)。日本政府は台湾を国家と認めていないが、民間の経済協力や人的往来、議員間交流などに注力。半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)が2月に熊本県に工場を新設したのは、良好な日台関係の象徴とされる。

 日本外交筋は「蔡政権は、これ以上ないほど親日的だった。この『高止まり』の状態を保ちたい」と強調する。

 ただ日本としては、中国からの視線も意識せざるを得ない。

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