技能実習に代わる「育成就労」を新設する技能実習法と出入国管理法などの改正案が21日、衆院本会議で与党などの賛成多数で可決された。永住者が税などの納付を故意に怠った場合に永住許可を取り消せる措置に関し、付則に配慮規定を盛り込んだ。

政府は法案が成立すれば2027年までの施行をめざす。育成就労(3年間)を終えて試験に受かれば、さらに技能レベルが高い在留資格「特定技能」に移行できるようになる。いまの技能実習は国際貢献のための人材育成を目的に掲げ、実習後の帰国が前提となっている。

1〜2年の就労後に本人の意向で、同じ業務分野で職場の変更(転籍)が可能になる。日本語や技能などの条件を満たすことなども条件となる。これまでは劣悪な労働環境などに耐えられず失踪する事例も相次いだ。

審議では地方から都市部に人材が流出するとの懸念も出た。与野党の修正協議の結果、大都市圏に過度に就労が集中しないように「必要な措置を講ずる」と付則に記した。

転職するケースが増えることを見越し、仲介業への監督も強める。転職のあっせんに関われるのはハローワークや監理支援機関などに限定し、民間の仲介業者は認めない。不法就労などをさせた場合の法定刑も引き上げる。

永住許可制度も見直す。税や社会保険料の納付を故意に怠った場合は永住許可を取り消すことができるようになる。17日の衆院法務委員会で与野党が修正合意して「(永住者の)置かれている状況に十分配慮する」との付則を盛り込んだ。

15日の同委員会で岸田文雄首相は「定着性に配慮して慎重に検討する」と語り「(対象は)一部の悪質な場合」に限られると説明した。立憲民主党は「外国人の未納よりも日本人の未納の割合の方が高い。立法事実はない」などと反対していた。

中長期の在留外国人に携帯を義務化している在留カードを巡り、マイナンバーカードと一体化した「特定在留カード」を発行できるようにする。法案が成立すれば25年度にも希望者に交付を始める。

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