日総工産が熊本県大津町で進めてきた半導体関連産業向けの人材育成施設の増設工事が完了し、30日に落成式を開いた。増設で研修棟が2棟に増え、育成能力が3倍に向上。県内で半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の工場が開所するなど製造現場の人材不足が進むなか、「即戦力」の供給拡大につなげる。
日総工産は製造業向けの人材派遣を手掛けており、2023年4月に大津町に人材育成施設「日総テクニカルセンター熊本」を開設。今回は同センター隣接地に2棟目の研修棟を増設し、施設の延べ床面積を936平方メートルと、これまでの約2.5倍に拡張した。
増設棟では座学スペースのほか、半導体工場のクリーンルームを想定した模擬クリーンルーム(高さ4.5メートル、広さ169平方メートル)も用意。6月からエッチング作業に使う機器などを順次導入し、10月をめどに研修業務を全面稼働させる計画だ。
あわせて半導体メーカー勤務経験があるシニア層などを講師として採用し、講師陣もこれまでの3倍の規模にまで増やすという。研修は半導体製造業務に携わる同社の従業員のほか、半導体製造企業など取引先の社員らも対象として実施する。
清水竜一社長執行役員兼CEO(最高経営責任者)は同日の式典で、熊本での半導体の設備投資が引き続き積極的と指摘。そのうえで「人材こそが源泉。研修機能を拡充して多くの人材を育て、熊本や周辺で高まるニーズにこたえたい」と意気込みを語った。
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