オレンジ色に変色したアラスカ州にある「北極圏の扉国立公園」の川=米国立公園局のKen Hill氏提供
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 北極圏にある米アラスカ州北部の広い範囲で川がオレンジ色に変色していることを米国立公園局などの研究グループが確認した。地球温暖化で解けた永久凍土から閉じ込められていた金属鉱物が流出した可能性があるという。英科学誌ネイチャーの関連誌で報告した。

 研究グループは、アラスカ州北部の約1000キロにまたがる範囲に流れる75の河川や支流で変色を確認した。大部分が国立公園内など人里離れた場所で、近くに鉱山なども存在していない。

 変色した川から採取した試料を分析したところ、基準とする河川と比べて強い酸性で、鉄、亜鉛、ニッケル、銅などが検出された。最も多いのは鉄で色の変化の原因と考えられるとした。

オレンジ色に変色したアラスカ州にある「北極圏の扉国立公園」の川=米国立公園局のKen Hill氏提供
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 研究グループが最初に異変に気づいたのは2018年で、衛星画像などから08年にさかのぼって汚染が確認された。変色は季節的な現象で、7~8月の夏に発生するという。論文では、これらの流域の水源に依存している地域住民は、温暖化の進行によって飲料水や漁業などに影響が及ぶ可能性があると警告している。

 北極圏は世界で最も速いペースで温暖化が進んでいるとされる地域だ。フィンランドの研究グループによる別の報告によると、北極圏の温暖化は過去数十年にわたって世界平均の4倍近い速さで進んでいる。【ニューヨーク八田浩輔】

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