九州MaaS協議会には約60の交通事業者が加盟した(4日、熊本市)

九州地方知事会と経済団体でつくる九州地域戦略会議は4日、次世代移動サービス「九州MaaS(マース)」を8月1日に開始すると発表した。スマートフォンアプリを通じて県境や複数の交通事業者をまたぐような乗車券をワンストップで購入可能になる。

サービス開始にあたって「九州MaaS協議会」を4月に設立した。九州7県や経済団体のほか、JR九州や西日本鉄道、九州産交バス(熊本市)、南国交通(鹿児島市)をはじめ九州各地の鉄道やバス、フェリー、航空、旅行会社など、5月下旬時点で約60の交通事業者が加盟した。

8月から順次、協議会に加盟する複数の事業者を組み合わせた乗車券やパッケージ商品などをトヨタ自動車子会社のトヨタファイナンシャルサービスが運営するスマホアプリ「my route(マイルート)」上で扱う。インバウンド(訪日外国人)向けにも今夏以降、JR九州の鉄道や各社の路線バスなどが乗り放題になるパスを販売する予定だ。

戦略会議の共同議長である九州経済連合会の倉富純男会長(西日本鉄道会長)は熊本市内で4日開催した記者会見で「これだけの規模の官民一体、広域によるMaaSは全国初だ。交通事業者は厳しい状況だが、九州の交通の利便性と持続可能性に明るい未来をもたらすと確信している」と話した。

あわせて戦略会議は同日、半導体産業が集積する「新生シリコンアイランド九州」の実現に向けて、九州の産官学金による円滑な意見交換や情報共有を進める「情報連絡会」を7月に設置すると発表した。

新たに策定したグランドデザインに盛り込んだ人材育成や資金調達の方針に基づき、九州一体で半導体産業の振興を目指す場として活用する。

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