「ニコニコ動画」などのサービスが利用できないことを伝えるホームページ

ドワンゴが提供する動画共有サイト「ニコニコ動画」が、大規模なサイバー攻撃を受けてサービスを停止している。同社が8日、ホームページで公表した。原因は調査中で「週末中は復旧の見込みがない」としている。

親会社のKADOKAWAは9日、「8日未明より当社グループの複数のサーバーにアクセスできない障害が発生し、データ保全のためサーバーをシャットダウンした」と発表した。サイバー攻撃を受けた可能性が高く、「外部専門家や警察などの協力を得て調査を継続し、迅速に対応を進める」という。

現在サービスを停止しているのは、「ニコニコ動画」と「ニコニコ生放送」、「ニコニコチャンネル」などのサービス。8日6時以降、サービスが正常に使えなくなっている。

ドワンゴはサイバー攻撃の経路や情報漏洩の可能性を調べており、「安全が確認されてから復旧に着手する」方針だ。ニコニコ動画などの自社サーバーにクレジットカード情報は保存しておらず、漏洩は確認されていない。最新状況については10日に改めて公表する。

KADOKAWAでもウェブサイトに不具合が起きており、商品やサービス、投資家向け広報(IR)のページを閲覧できない。

ニコニコ動画は国内では「ユーチューブ」とならび知名度の高い動画共有サイトの一つで、2006年にスタートした。ニコニコ動画などを含む動画配信サービス「ニコニコ」の月額有料会員数は24年3月期末時点で117万人。

ニコニコ動画は視聴者が動画に直接コメントをつけられるのが特徴

ウェブサイトやサービスが止まるサイバー攻撃が相次いでいる。

ライブ配信サービス「ツイキャス」の運営会社は24年2月、同年1月末からサーバーへの大量の通信でサーバーなどの機能をダウンさせる「DDoS攻撃」が断続的に行われ、配信が視聴しづらくなるなどの影響が出たと発表した。

22年9月には政治的思想を掲げて活動する「ハクティビスト」と呼ばれるロシア系のサイバー攻撃集団「キルネット」が、日本の政府や企業への攻撃を宣言。電子政府の総合窓口「e-Gov」などの政府系サイトや東京地下鉄(東京メトロ)などのインフラ企業のウェブサイトが一時閲覧しづらい状態になった。

内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)などは23年5月、DDoS攻撃だったとする分析結果を公表した。

DDoSは古典的な手口だが、ボット(自動投稿をするプログラム)を使った大規模攻撃が近年でも発生し、イスラエルとイスラム組織ハマスの衝突など国家規模の応酬でも使われている。米IT(情報技術)大手のクラウドフレアによると、24年初頭に日本で起きた攻撃の約8割が「IT・情報通信サービス」を標的としている。

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