政府は11日、2024年版の科学技術・イノベーション白書を閣議決定した。人工知能(AI)の研究開発を巡る国内外の動向やAIを活用した科学研究の取り組みなどを紹介した。利活用が広がるAIとの共生に向けて「AI技術を取り巻く環境や制度、文化などの変革を進めていくことが重要だ」と指摘した。

24年版白書では「AIがもたらす科学技術・イノベーションの変革」を特集。文章や画像を生成できる生成AIの技術が急速に進展してきた背景や要因、大学や民間企業で進む日本語向けの大規模言語モデルの開発状況などを取り上げた。

AI技術を科学研究に活用する「AI for Science」と呼ばれる取り組みの現状にも触れた。AIがシミュレーションの高度化や、科学的仮説の生成や推論などに用いられ、「新しい発見やブレークスルーが期待されるなど、科学そのものの変革につながる可能性がある」とした。

生成AIが作成したコラムも初めて掲載された。「AIと科学の未来」を題材に作成を指示したところ「社会的・経済的利益と倫理的配慮のバランスを慎重に見極めながら、成長と発展を遂げる可能性を秘めている」などのテキストを生成した。AI作成の文章には「です・ます調」と「だ・である調」の混在といった不自然な点があったが、そのまま掲載したという。

白書では「国際競争が激化する中、人材や研究資金の確保といった課題も山積している」と課題も指摘した。最先端技術の開発や人材育成への持続的な投資などのほか、「科学の新たなパラダイムシフトに挑戦する研究者や研究機関などを支援していくことが重要だ」と強調した。

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